21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

2010-01-01から1年間の記事一覧

三谷太一郎 「ウォール・ストリートと極東」は面白い

東大名誉教授で日本政党政治史の大家の三谷太一郎先生が、「ウォール・ストリートと極東;政治における国際金融資本」(東京大学出版会)というとびっきり面白い学術書を出版された。ギリシア危機や、ユーロの動揺というものが、近代日本の起源への記憶を生…

クルーグマン 大統領の宿敵

クルーグマンが、ヘラルドのいつものページに「宿敵(old enemies)」というコラムを書いている。オバマ大統領の政敵についての面白い見立てだ。Rand Paulなどに代表される、一見、ポピュリズムの台頭のような動きだけに目を囚われていると、真実の敵が見えて…

タイラー・コーエン「ギリシアはなぜみかけより貧しいのか」

Tyler Cowenの「ギリシアはなぜ見かけより貧しいか」というコラム。(日経BPから「インセンティブ」が、出版されている、魅力的な書き手だ。)ユーロという制度の持つ難しさを克明かつわかりやすく説明しているということで稀有なコラムだった。ぼくが経済学…

角川総一 毎日5分の「日経新聞」道場

大学に入学して、経済学を学び始めたときのことを思い出している。買いたての教科書の説明は、世間知らずの学生の頭にはすっきりと入らなかった。経済学というものが複数の変数の相互連動によって決定されるという大づかみの理解は大事なのだが、実際に、そ…

大救済時代(Too Big To Fail)は終わらない

ニューヨークタイムスのRoss Douthat署名の、大再編(The Great Consolidation)というコラム。要旨は、世界中で、経済危機を契機に、反政府、反エリート的な風が強くなっているように見えるが、実のところ、こういった経済危機を引き起こした各国のエリート…

ヨーロッパの夢の終り?

ユーロの動揺は収まらない。日本では、ユーロへの輸出依存度の高い企業の株が売られている。ソニーは対ユーロで1円の円高が、70億円の減益要因になるという。今期の想定レートが125円なので、現状の115円などという水準が続くとすれば、数百億円規模の減益に…

映画「グリーンゾーン」を観た

東京は眠らない。あまり夜遊びをしなくなったので、東京の週末の深夜を久々に見た。六本木ヒルズの映画館で、たくさんの外国人たちにまじって、Paul Greengrass監督のグリーンゾーンを見た。イラク侵攻時を当時のブッシュ大統領が正当化するために使った大量…

イギリス連立政権の行方(ニューヨークタイムス)

ギリシア危機に揺れるユーロ圏だが、通貨統合からは一歩距離を置いている英国も、財務赤字のGDP比率は11.8%とギリシアの13.6%に迫る勢いだ。その意味では久々の連立政権の課題は重い。ニューヨークタイムスのイギリスの連立という論説。 http://www.nytime…

クルーグマン ギリシアとアメリカ

ギリシア危機が、米国では、医療改革などオバマ政権の目指す福祉国家への方向を阻止するために不当に用いられていると、クルーグマンが批判している。長期的財政赤字を解消しなければ、今のギリシアが明日のアメリカの姿だと共和党は主張する。その背景にあ…

IMF大活躍

アイスランド危機、ギリシア危機と、久々に、金融危機専門のインベストメントバンカー、ディールメーカーとしての存在感を増しているIMFの長であるDominique Strauss-Kahnのインタビューが面白かった。実際、ユーロ圏全体によるギリシアを含むPIIGS諸国を対…

ドイツ国民はギリシア叩きをしている暇があるんだろうか

ギリシア救済に関して、ドイツ国民の中に、あんな金遣いのあらい連中のつけを何故自分達が支払わなければならないのかといういわゆるEuro Scepticism(ユーロ懐疑主義)が強く、メルケル首相の与党の直近の選挙での敗北に繋がったという。なんとなくわからな…

市場対国家 ユーロ防衛

今日の新聞を読んでいると、引き続き、ギリシア危機がトップだった。とりあえず、ギリシア支援という枠組みで検討していたが、市場は、ユーロ各国の足並みが揃わないことと、ユーロの中心であるドイツの国民が、ギリシア支援に対してネガティブな反応をして…

トム・フリードマン「生まれたての赤ん坊が初めて見るものは」

日本の報道だけに触れていると、日本だけが、世界に出遅れて、無策で、どうしようもない気になってしまう。でもヘラルドを読んでたら、けっこうどうしようもないと感じているのは、日本だけじゃないことがわかる。トーマスLフリードマンが、ギリシア危機や英…

内田樹さんの「労働」観

ここ数年、とても影響を受けている書き手がいる。内田樹さんという神戸女学院大学という関西でも有数の有名校のフランス語の先生である。ただ、最近は、内田樹の研究室という超人気ブログをテコに大量で、重要な本を出版している。「日本辺境論」という新書…

岡田博紀「ビジネスで大切なことはみんなレストランで教わった」(大和書房)

神楽坂のKemuriという「隠れ家的」炭火焼レストランの創業や飲茶の一茶一坐の再生などを行っている古くからの知人岡田博紀さんからメールがあった。「本を出したので、読んでください。」「ビジネスで大切なことはみんなレストランで教わった」(大和書房)…

「たかが車じゃん!」と言えないトヨタ

トヨタの公聴会を見たり、関連報道をずっと読んでいる。その中で感じたことがいくつかある。最初に、トヨタ社長の内輪の激励会での涙を見て、米国で日本企業がビジネスを続けることのChallengeを今更ながらに感じた。こういった問題が生じたときに、企業を最…

「日本人が日章丸事件の意義を思い出す時は今」ヘラルド・トリビューン

広島に設立された国連訓練調査研究所(UNITAR)のシニアアドバイザーのNassrine Azimiさんが、ヘラルド・トリビューンに、今こそ、日本がイラン問題解決に国際的役割を果たすことができるタイミングだというコラムを掲載している。ヘラルド・トリビューンに…

ユーロという十字架

ギリシアのデフォルト危機を見ていて、過去の金本位制や、「男子の本懐」で城山三郎が描いた金解禁のことが、若干、同時代的リアリティをもって迫ってきた。発展段階で、先進国からの外部借入に依存している途上国に対して、貸し手側の先進国は、借り手に対…

地下鉄で読むヘラルド・トリビューン

情報収集という観点からのツイッターを使い続けてきた。しかし、圧倒的な便利さのように感じられたものが、少しずつ、結局、自分の鏡でしかなく、フォロワーをどんどん広げるというドライブも失せてきたり、TLをスクロールして、Moreのボタンを押して待つの…

週末のツイッター活動

この週末は、寒いし、体調も悪いので、自宅にこもって、録りためた、映画やミステリーを身て過ごした。相棒、交渉人などのテレビドラマ。米国ミステリーのDOA,中国青春映画の「五月の恋」。魔都上海を舞台にしたメロドラマ「上海の伯爵夫人」。とりたてた傑…

内田樹さんの安保論

内田樹さんの言葉は、ぼくにとってはできのいい法話のようなものである。お坊さんが葬儀、一周忌、あるいはその他もろもろの仏教的集まりで語る言葉である。ぼくの家系は、医者と坊主と教師の混成部隊のようなところがあり、その意味では、お坊さんの法話に…

Robert Naiman (HuffingtonPost) 日本の民主主義を守れ

ツイッターのTLを眺めていたら、HuffingtonPostのRobert Naimanさんの日本の民主主義を守れという投稿についてのRTがあった。早速読んでみた。日本の民意に反して、基地移転問題に対して民主党政権に圧力を加え続けるオバマ政権に対する率直な批判である。我…

NYT Fackler記者 密約の解明は、パンドラの箱を開ける

鳩山政権と政権交代後の日本の民主主義が直面するより錯綜した問題が普天間問題である。アメリカと日本の戦後65年に対する歴史観の違いが、あいまいな形で放置されてきた、あるいは意識的に隠蔽されてきたのが自民党の長期政権の下での戦後秩序だった。若泉…

アメリカ人がトヨタのリコールを許せない理由(?)

ヘラルド・トリビューンを開いたら、さすがに世界のトヨタ。リコールの記事がやたら多い。そんな中で、アメ車なら許せるが、トヨタはまずいというコメントがあった。NYTのMatthew Debordさんのオピニオン。http://www.nytimes.com/2010/02/06/opinion/06debo…

昨日のツイッター活動

昨日のツイッター活動。 https://twitter.com/CafeMetropolisサンデープロジェクトじゃなく、間違ってサンデージャポンを録画したせいもあって、検察問題に対する直接なTweetはしなかった。正直、もっと重要な論点があるはずだと重く。若泉さんの「他策」の…

今日のツイッター活動

終日、外出しなかったので、RTも含めて、相当Tweetしたなあ。思いついたことを、140字でまとめておくという知的作業をもっと生産的に活用できないだろうか。いろんなことを考えさせてくれるのがツイッターの面白さだ。 ●世界各国で、米国発のテクノロジー…

ツイッターは麻薬だ

ニューヨーカーのサイトを眺めていたら、Stop the WorldというGeorge Packerのコラムが掲載されていた。 http://www.newyorker.com/online/blogs/georgepacker/2010/01/stop-the-world.html ブッシュ政権の頃に、廃刊されていた、Bafflerという雑誌が再出版…

読者から見た日本メディアの海外報道

第二次世界大戦後、日本に世界戦略はなく、常に対米従属であったという裸の現実を直視することからしか、日本という国の独自性は始まらないと、ぼくは孫崎享さんの提言を受け取った。ところが、米国の戦略に追随するということだけでも、そんなに簡単ではな…

Howard Zinn死去;普通であることのラジカルさ

Howard ZinnのA People’s History of the United Statesを読んだ時、米国の正史とはかけ離れた赤裸々な米国の血まみれなリアルな過去の記述にある意味ぎょっとしたのを鮮明に覚えている。ちょうどその頃、米国という国の異様さを感じていた頃だったからだ。…

ニューヨークタイムス 日米同盟は日本防衛にとってBargain

国と国との関係も、人と人の関係と同様、自分の言い分だけを通すわけにはいかない。相手方の言い分に耳を傾けることなしには、一定の妥協には至らない。沖縄の基地問題も、同様に、米国にも言い分がある。ニューヨークタイムスの論説を最近じっくりと読むよ…