2010-01-01から1年間の記事一覧
投資銀行やヘッジファンドに代表される米国金融業界の米国社会における地位は、ここ数年、彼らが引き起こした様々な問題にもかかわらず、一向に、低下していない。そこには、米国社会の持つ、達成というものへの妄執と、それをもっともわかりやすく表現する…
ブラックスワンという金融分野のベストセラーを書いたNassim Nicholas Talebがトレーダーであるということは重要である。クオンツモデルというものの、良さも悪さも知り抜いているからだ。バブルが破裂するまでは、クオンツモデルの欠陥などというものが喧伝…
グーグルのチーフエコノミストで、カリフォルニア大学バークレー校の教授のHal Varianが2年前にマッキンゼーのインタビューに答えた、Podcastを、英語の勉強がてら、何度も聞いてみた。なかなかいいことを言っているようなので、ウェブの検索したら、Transcr…
最近の日銀批判の本を読んでいると、日本の為政者たちが、世界の経済学の達成したものすら理解していないという形の批判が多い。疑問は二つ。先ず、経済政策についての経済学の有効性というのは、ある程度までは、衆目の認める水準にあるのか。この質問に対…
最近どうかなと強く思うのは、今の日本の置かれている問題のすべてに正解があって、日本政府や官僚はそれを全くわかっていないという論調だ。そういった発言をするのは、学者や評論家が多いのだが、そういう人たちは、どちらかといえば、全体的視点でものを…
クリントンは、「馬鹿だな、重要なのは経済だけさ」という台詞で有名だ。たしかにイデオロギーも人間の生き方も大切だが、自分の職や家族の生活がどうなるのかということ以上に重要なものはない。おそらく、今後の日本の選挙の動向を決める中で、経済状況が…
インターネット分野の経験が長い友人から面白い話を聴いた。ある米国人が、韓国に仕事でしばらく滞在していた。その時に感じたのが、韓国のインターネット活用度の深さと、英語学習熱の異様な高さだった。シリコンバレーを本拠にしている彼は、帰国後、中西…
欧州危機の本質は、ユーロ圏の中で活発に金融活動を行っている、欧州の銀行の不良資産問題である。その意味では、バブル崩壊後の日本の不良資産問題に雰囲気が似てきている。銀行同士がそれぞれのポートフォリオのなかみに対して信頼ができなくなってくるた…
ニューヨークタイムスのタニカワ・ミキさんが、アジアで働く若い日本人の状況について、 「多くの日本人が自分自身をアウトソーシング」(Many in Japan Are Outsourcing Themselves)という記事を書いている。この記者が、どちらかと言えば、アッケラカンと…
15年間のデフレ経済の責任は、日本銀行の金融政策の失敗にあるという本がどんどん出版されている。それも中途半端な人たちが主張しているのではない。ちゃんとした経済学者が、続々と、日銀の金融政策批判をあげはじめている。日銀の「信認」などというもの…
日経のG20についての報道の書き方を見ていて、気になったことがある。財政対策で、欧米に置き去りにされる日本というようなかきっぷりだ。ものごとはそんなに簡単だろうか。財政緊縮策をめぐっては、時期早尚論も含めて、議論奔出というところだろう。欧州の…
昨日は、夜、対オランダ戦のお茶の間観戦。自分は弱いことを、認識した上で、強者に一泡吹かせようという、弱者のサッカーに徹していたのが、清々しかった。平均的に弱いということと、その試合の勝敗というのは必ずしも一緒じゃない。そこが、サッカーの面…
クルーグマンがニューヨークタイムスに「気分はまるで30年代」と、世界中に広がる時期早尚な、緊縮(Austerity)ブームに警鐘をならしている。特に、ユーロの中核にいながら、ユーロというものの構造的意味を理解しようとしない、あるいは理解しようとしても…
日経新聞を読んでいたら貴金属ETFが東証に上場するという記事が載っていた。「金やプラチナ(白金)の1キロの延べ板と交換可能な上場投資信託(ETF)」が7月に上場するらしい。地金投資に似た安心感を持たせたのが工夫だとか。商社(委託者)が金市場から現…
BISが発表したレポートが、ユーロ危機のミクロ分析を可能にしつつあるというニューヨークタイムスのJack Ewingによる記事。債務の重荷がドイツとフランスにのしかかる http://www.nytimes.com/2010/06/14/business/global/14eurobank.html?ref=global-home&p…
日本の新政権の動きを、きっちりと、追いかけることは、有権者としての責任だ。国内マスコミは、やたら国内政治に辛辣なので、少し、バランスを取るには、海外の政権動向を見るに限る。その意味で、民主党政権が二党制のモデルにしてきた英国が気にかかる。…
なぜ低金利の日本国債を日本人が買い続けるのかということが論壇をにぎわせるようになっている。たしかに、現実の投資行動がすべて緻密な論理に基づくものではない。特に金融危機のような状況で生じる動きは、表層の論理を繋げた条件反射的になってしまうも…
言葉というものは重要である。ヘラルドトリビューンにDavid BrooksがHistory For dollarsというコラムを書いている。はじめ、ドルの歴史と読み違えて、ドル不足問題やドル危機についてのコラムかと勘違いした。そうじゃなくて、最近の米国の大学生が就職難の…
あらゆるバブルは過剰信用から生まれる。ヘッジファンドであれ、どんな投機家であれ、自己資金(エクイティ)だけでは、投資ポジションを大きく膨らませることなどできない。銀行が大きく、貸し込んでくれなければ、話は大きくならないのだ。バブルの崩壊に…
ヘラルドトリビューンの英文朝日の方の土曜版に連載されている船橋洋一さんによるインタビューをいつも楽しみにしている。Brave, grave new worldだ。今回は、“Postwar; A History of Europe Since 1945”の著者であるニューヨーク大学で歴史を教える英国人歴…
日経新聞の読書欄の「この1冊」で東京大学の佐々木弾さんが、「ケインズ説得論集」(日経新聞)の書評を書いている。その中で、最近のクルーグマン、OECD論争や、日本の財政危機をめぐる論争の中で、ぼくの視点の中になかったポイントが指摘されていた。ケイ…
Fiat Currencyを辞書で引いたら、不換紙幣という訳になる。何に換えられないのかというと普遍貨幣として、長い間、多くの人が信じてきた金だ。グローバルインバランスとかいって、アメリカ人が借金して気違いみたいになって消費をすることによって作り出した…
クルーグマンは、OECDの市場に先回りしてインフレ期待の高まりに今備えるべきというスタンスの危険性をThe Pain Caucusというコラムで痛烈に叩いた。余計な先回りで、市場が今望んでいないことを、仕掛けることで、いまだな脆弱な景気に対して脅威を与えるの…
ホンダの中国仏山工場のストライキも、大幅な賃上げで完全終結に向かったらしい。しかしホンダのストライキや、台湾のFoxconnの工場での若年労働者の自殺連鎖などの背景にあるものは何か。ニューヨークタイムスのPhilip Bowringは、こういった事件は、これか…
今日も東京は素晴らしい快晴だ。世の中は大変そうだが、少なくとも、天気だけはこのところ文句のつけどころがない。じっくりと新聞を読んだ。当然ながら、民主党新政権についての値踏みが始まっている。昨日市場は株高で、菅直人さんの過去の発言の中の「円…
鳩山首相が辞任した。政治家としても引退するらしい。小沢幹事長もともに辞任。市場は、いまだ、その事実をどう読みこむかにとまどっているようだ。何も変わらなかったというような紋切り型のコメントがとりあえず発せられる。これはマスコミ例文集にでもあ…
今日はカナダ中銀が政策金利の利上げを発表した。金融危機後G7初の利上げである。昨日のクルーグマンのコラムで話題になっていたOECDがカナダに対しては即座の利上げを推奨していたらしい。日経でも報じられていたが、その背景については何も書いていなかっ…
ギリシア危機を引き金として、日本国内にも、財政再建というような論調が強くなってきている。これはいいような悪いようなところがある。財政再建の中でもっとも重要なのは、実は、どのようにお金を使うかという点の納得性だと思う。今は、その政治プロセス…
昨日の日本代表のイングランド戦は、久しぶりに面白かった。実力差は言うまでもなかったが、日本代表に韓国戦ではまったくなかったスピード感が蘇り、前半だけでいえば、セカンドボールや、前線でのパスカット等もかなりの率で成功していた。さらには、早い…
今回の経済危機で、身にしみてわかったのは、世の中は持ちつ持たれつだということである。小さな集団の中では自明な事実が、近代社会が成長する過程で少々見えにくくなっていた。小さな集団の中では、この言葉は道徳的というか、ある種の優しさを持って使わ…