日本VSアヤックス若手育成アカデミーDe Toekomst
昨日は、夜、対オランダ戦のお茶の間観戦。自分は弱いことを、認識した上で、強者に一泡吹かせようという、弱者のサッカーに徹していたのが、清々しかった。
平均的に弱いということと、その試合の勝敗というのは必ずしも一緒じゃない。
そこが、サッカーの面白いところだとしみじみ思う。
どうも、今年ぐらいになって、ようやく、自分のワールドカップの見方というのもこなれてきた気がする。フランスも、日韓も、ドイツも、なんとなく、日本代表というものに、とらわれすぎて、試合をじっくりと見ることができなかった。
今回、日本戦以外も、かなりじっくりと見るようになった。
サッカーの見巧者になったというわけでもない。
ぼくにとってはウィニングイレブンというコナミのテレビゲームの影響が一番大きい。
テレビゲーム全般には全く興味を失ってしまったぼくが、PS3まで買ってしまったのは、ひとえに、進化しつづけるウィニングイレブンというサッカーゲームをプレイしたいからだ。極端なのだが、本当にこのゲームだけ。専用ゲーム機でも構わないくらいだ。PS3のマルチメディア化、通信性強化など、なんの関心もない。
ただ、容量が強化されたことと、それに伴うソフトウェアの質的変化によって、プレイヤーが個性を持ち始めている。
スナイデルは本当にスナイデルのような動きをするし、ハイティンガは、強力なデフェンサー振りを発揮する。
サッカー観戦の事前予習用ツールでもある。
既に、今回の日本代表のフォーメーションで、カメルーン、オランダ、デンマークと何度も戦っている。しかも、かなり現実の結果と近い展開になっている。
日本代表だけにこだわっているわけでもない。
オシムの本を読んでいたら、不必要に注目されなければ、スロベニアがダークホースになる可能性があると書いてあった。スロベニアを使って、実際に対戦を行ってみたら、フォワードが極めて強靭なポストプレイを行っている。
ウィニングイレブンがなかったら、ここまで、詳細に、個別プレイヤーのイメージはつかめなかったはずだ。
かなりいい線行っていたと思うのだが、やはり、一瞬の個人的能力の発現に、自力の差のようなものが現れていた。
オランダというか、欧州の若手育成の骨格を作った、アヤックスの「未来」(De Toekomst)という名前の若手育成アカデミーで、7,8歳でオランダ中から集められた少年たちが、黙々とショートパスの練習を繰り返す風景がふっと浮んだ。
スナイデルも、7歳でアヤックスの「未来」学校で、将来のスター候補生としての生活を始めたらしい。
昨日のゲームの中にも、この学校出身で、今もアヤックスで活躍するGregory van der Weil(22歳)、スペインで活躍するRafael van der Vaart,イングランドのプレミアリーグに所属するRyan Babel, Johnny Heitinga, Nigel de Jongなど、綺羅星のスターたちが、アフリカのフィールドを疾走していた。
実際、アヤックスが、こういった若手を海外のビッグチームに巨額の移籍金で転売して稼ぐビジネスモデルでなければ、アヤックスは、何度、チャンピオンリーグを制覇していたことだろうと思ってしまう。
ただオランダという小国のサッカー市場を前提とした、オランダ的合理性、アヤックスのビジネスモデルとして結実している。
しかし、そういった合理性に反して、ナショナリズム的な祭りとして、出稼ぎスターたちが一同に介するのが、もう一つのワールドカップの面白さだ。
そういった合理性と、方法論の蓄積の中から、生まれたファン・ペルシーや、スナイデルの一瞬の超越的運動性に、日本は敗れた。
しかし日本的「冷静と情熱の間」に、日本の未来があると一瞬思える試合だったような気もする。
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