21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

数字でサッカークラブを眺めてみると

ピッチ上で展開するサッカーの戦術を理解したという気持ちはやまやまなのだけど、さすがにその部分では、見事なくらいにアマチュアなので、いまだに、フィールド上の選手のプレイの価値などというものを把握することなどおぼつかない。

 

だとすれば、まずは、わかるところから始めようと思った。

 

プレミアリーグJリーグのクラブの売上や人件費のあたりを調べてみることで、産業としてのサッカーの外側から抑えようと。

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若干インターネット検索しただけで、いくつかの資料が見つかった。

 

プレミアリーグの数字に関しては、デロイトのAnnual review of Football Finance 2019、Jリーグに関しては、日本プロサッカーリーグが出したばかりのクラブ経営開示資料が貴重な情報を提供してくれた。

 

 

プレミアリーグの2017/18シーズン

マンチェスターユナイテッドの売上は761億円で人件費は382億円である。

その他トップの強豪クラブの数字は以下の通りである。

 

ちなみに20位のWest Bramwichでも売上は161億円。人件費で118億円だった。

 

2017/2018      
(100万円) 収入 選手給与 比率
ManU 76,110 38,184 50%
ManC 64,887 33,540 52%
Liverpool 58,695 34,056 58%
Chelsea 57,792 31,734 55%
Arsenal 50,181 30,960 62%
Tottenham 48,891 19,092 39%
平均 31,089 18,318 59%

 (デロイトAnnual review of Football Finance 2019)

http://www.deloittestore.co.uk/Annual-Review-of-Football-Finance-s/1968.htm
   

これに対してJリーグの数字は、

 

トップの神戸の収入は約97億円。平均で約48億円。

 

我らが札幌は収入30億円で人件費が15億円だった。それぞれの人件費の数字をじっと見ていると、いろんな思いが浮かんでくる(笑)

 

この陣容で去年は4位、現在7位。よく頑張ってるなあ。

 

  Jリーグ 2018年シーズン

(100万円) 収入 選手給与 比率
神戸 9,666 4,477 46%
浦和 7,549 3,108 41%
鹿島 7,330 3,157 43%
川崎F 6,074 2,614 43%
名古屋 5,491 2,823 51%
G大阪 5,159 2,193 43%
平均 4,755 2,275 48%
       
札幌 2,988 1,502 50%
湘南 2,978 1,384 46%

(日本プロサッカーリーグ調べ)

 

https://www.jleague.jp/docs/aboutj/club-h30kaiji_4.pdf

   

この圧倒的な数字の違いの背景を一つ一つ丁寧に理解してみようかなと思っている。戦術眼よりは、比較的順調に理解は進みそうだ。

 

この資金量の圧倒的な違いを見るだけでも、若い有望株がどうしてポンポン青田買いされるかの理由も腑に落ちるじゃないか。

 

この収入の中に占めるチケット収入、放映権収入、企業協賛収入等の内訳をじっくりと見てみようと思っている。

 


HIGHLIGHTS | Bournemouth 1-3 Man City | Aguero, Sterling, Wilson.

昨日の、マンチェスターシティとボーンマス戦での、ラポルテからの大きなサイドチェンジを見事にトラップしたBernaldo Silva, David Silvaと繋いで、最後は狭いスペースのないところへのキラーパスをメッキリ覚醒したSterlingが決めた、あのスリリングなゴールも当然なのかもしれないと思った。

 

福森のサイドチェンジのクロスを白井がトラップして、チャナティップ経由で武蔵が決めるという、基本的には同じパターンの戦法だが、やはり金がかかってる分、凄みが違う。

 

でも、この数字の違いを見ると、ほんとにくどいようだけど、みんなよく頑張ってると思ってしまう。

 

 

第24節 ホームFC東京戦;がっぷり四つのドロー

大量得点差での勝利の後、迎えたホームでのFC東京戦をどう始めるのかが楽しみだった。
浮かれて、頭から、攻撃的に行くとは思わなかったが、いつも通りの攻撃的な構えだった。
 
ただ強豪相手なので守備を固めてのカウンター狙いなので、ボールは支配されたが支配率ほどは試合をコントロールされてる感じはなかった。
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序盤は、東京が、少し前掛りな感じだったが。
 
縦横無尽かつ献身的に走りまわり、さらにボールの保持力が高いディエゴ・オリベイラと、未曽有の速さに、枠に飛ばす能力を強めている永井。やはりこの二人は現状のところリーグトップの攻撃的脅威だった。
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ただ札幌のディフェンスラインも、対人ではさほど負けていない。サイドを永井などに抜かれるというリスクだけが気になった。札幌がやられる時のパターンである。広島の森島に抜かれるとか、古い話だが、レイソルの伊藤純也に抜かれるとか、前からどんどんボール奪取に来て、速いボール回しをする川崎とか。
 
序盤の比較的強めのプレッシングのあと、東京は前線でのインテンシティを少し落とした。
 
札幌も、抜群の体幹の強さで、結局、ボールを奪われず、必殺のスルーパスをくり出す超人チャナティップによる中央突破や、右サイドへの大きなサイドチェンジでスペースを作り出す白井の切れ味のよいカットイン、急激なギアシフトでデフェンスを置き去りにする武蔵など、まったく悪くなかった。
 
ただ決定機というよりは、決定機マイナス1ぐらいのところで、東京のボランチデフェンスの粘り強い守りやら、札幌側のここ一番の精度の悪さで、決定機にまでは至らなかった。
 
やはり林、森重、橋本などを中心とする守りの中心ラインは見事だった。特に、若い渡辺剛というディフェンダーが、ジェイとがちがちはりあって見事に抑え込んでいた。
 
前半後10分ぐらいあたりから、東京が、プレッシングのギアを上げたのがわかった。特に、永井、オリベイラGKへのボールをチェースし始めたのを見てイヤーな気分になった。
 
しかし、この永井のプレスは本当に敵にとっては脅威だ。武蔵もこのあたりはもう少し永井を見習った方がいいんじゃないのかなあ。そしたら、ホントの脅威になる。
 
と思った瞬間、ボールキープしてねじり込むようにゴールを目指すオリベイラを倒してフリーキックを与えた。めっきりイヤな選手となった東のフリーキックを、さっきの憎ったらしい顔した若造渡辺に見事にヘディングで決められた。
 
このあたりは、守備とショートカウンターを、時間ごとに配分するバランスの良い戦術回しだなあと感心した。さすがに伊達にトップを走っているわけではない。
 
FC東京というのは実は僕にとってはずっと期待外れなチームだった。近いんだから、本気で応援しようと思ったことが何度もあるのだが、良い選手揃えているわりには、勝ち切らないし、応援の熱気もそんなに感じなかった。その意味ではよく分からないチームだった。特に昔から大好きな高萩がFCソウルから戻ったときには今度こそ応援しようと決意したぐらいだったのだ。
 

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余談だが、前に韓国でFCソウル時代の高萩のプレイを見たことがある。後半にボランチで登場して、途端、その独特の視野の広さから繰り出すロングフィードや、逆サイドのクロスで形勢が一挙に変わった。特に、ソウルのファンたちが、高萩と応援する声を聴いて、わけもなく、うるっとしてしまった。チャナティップを応援する日本人に、多分、うるっとしているタイのサポーターも多いと思う。外国で聴く自国選手への応援はほんとに嬉しいものなのだ。
 
長谷川健太になってから、そのあたりが変わった。しっかりとしたディフェンスと、どこからでもボール奪取してショートカウンターをくり出す戦術がはまり、どことなくアイデンティティ危機にあった永井の才能が開花した。ロンドン五輪の時に世界を永井の速さが驚かせた時の誇らしさを思えば、時間がかかりはしたが。
 
しかしこのままで、終わるミシャではない。後半に期待が高まった。
後半序盤、チャナティップに渡ったボールを左サイドの菅にさばいて、菅からのグラウンダーのセンタリングを武蔵がシュートしたのがジェイにあたり、相手ゴールを割った。
 
ここから、一気に、ミシャと長谷川の基本的な喧嘩上等精神が露わになり、後半は楽しい楽しいノーガードの打ち合いになった。
 
決定機の数は札幌の方が多かったような気もするが、双方の選手の気の入ったバトルで結果は引き分けに終わった。
 
ただ楽しい場面満載だった。
 
FC東京の渡辺は、闘志を顔にみなぎらせながら、ジェイに立ち向かっていた。ジェイはうるさいなあと嫌がっていた(笑)。嫌がらせたもん勝ちだから、この若い選手は有望株である。ボール処理をめぐってキーパーの林とも揉めてたぐらいだから、なかなかの気の強さだ。特に、敵チームのサポーターからすると、憎ったらしい生意気顔である。広島の稲垣、セレッソ松田陸のような、「嫌な顔」だ。
コンサドーレの選手はなんとなく大人しすぎないかなあと心配になったが、進藤、ミンテ、菅あたりは、多分、敵からすれば、嫌な顔なのかもしれない。
 
オリベイラ、永井を、フィジカルに抑え込んだキム・ミンテの活躍は、今日も素晴らしかった。ソンユン、ミンテの韓国ラインは、コンサドーレディフェンスの岩盤だ。
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後、カウンターを仕掛けようとする永井をフィジカルに止める菅と、怒る永井の顔のアップ。
 
その後抜かれる無表情の菅。僕はこの菅の無表情が大好きだ(笑)
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熱い、互角の戦いだった。
 
2日の広島に引き分けたのが敗北に等しいドローだったとすれば、今回は、決定機(あるいは決定機マイナス1)の数でいえば、勝っていた分悔しいものの、誇っていい勝ち点1だった。
 
面白い試合だったし、チームの成長を今回も感じることができたし、次の段階に必要なものが何かも、見えてきたような気がする。
さて次節のアウェイの神戸戦は難しい試合になるだろうな。しかし、酒井、フェルマーレン、西、山口という屈指のディフェンスラインとの対決は楽しみだ。イニエスタは出られるのかなあ。勝敗はともかく、フルメンバーの神戸との対決を見て見たい
 
観客数 19545人
 
 
  順位 勝点 勝数 得点 失点 得失差
第23節 6 35 10 5 8 39 28 11
第24節 7 36 10 6 8 40 29 11

中島大輔「野球消滅」

 

trailblazing.hatenablog.com

 

 

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trailblazing.hatenablog.com

 

僕たちは、野球で育った世代である。

 

今でこそ、巨人の選手の名前など全くわからなくなったが、小学生の頃は、二軍の選手に至るまで全選手のプロフィールを暗記していた。

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高校野球などで熱戦が繰り広げられると、試合終了を待ちかねて、近所のグランドに野球仲間が三々五々集まりだして、ダブルヘッダー、トリプルヘッダーなどざらだった。

 

大人になると、日本のプロ野球の狭さが身につまされ、うんざりして、野球観戦をやめた。

 

しかし、野茂、イチロー、松井などのMLB挑戦が、物珍しさもあってか、一時的に、野球への関心を復活させた。

 

しかし次の世代になると、その物珍しさも消え、田中、大谷、ダルビッシュの活躍も、持続的に野球を見るという習慣を取り戻すまでには至らなかった。

 

侍ジャパンというプロアマあげての試みも、全く面白いと思えない。そもそもオリンピック嫌いだから仕方がない。

 

やはりそこには、野球という世界というものへの広がりにかけるスポーツの持つ偏狭さが息苦しい感じがするのだ。

 

これに対して、Jリーグのひいきのチームを足場にした、サッカーに対する関心は日々増していくばかりだ。足許から、グローバルなサッカービジネスを理解したいという気持ちが強くなっている。

 

自分のこうした興味の変化に比して、どうにも違和感がぬぐえないものがある。

プロ野球高校野球の人気である。

 

そんな中、「野球消滅」という本を読んだ。

 

 

野球消滅 (新潮新書)

野球消滅 (新潮新書)

 

 

この未曽有の好調の背後に忍び寄る少子化のリスク、多くの組織が乱立し、統一行動のとれない日本的体質などを客観的に分析している。

 

2018年 プロ野球の観客動員数は2555万719人だったという。

 

これに対して

 

J1の2018年の観客動員数は1154万人。ワールドカップの影響もあってか、日本代表戦は3324万人。

 

年俸で比較すると、

 

プロ野球 3955万円(出来高給除く)

J1 2661万円

J2 440万円

Bリーグ 1310万円

 

チームの財務状況としては、 

 

2016年 広島東洋カープ

売上 182億円

入場料収入 58億3000万円

グッズ収入 53億円

テレビ収入 15億円程度

 

 

DAZN後のJリーグの経営状況はまたどこかで調べてみたいとは思うけれども、足元の経営としてはうらやましい程順調と言える。

 

しかし深刻なのは、小中学生の野球人口が2007年から2016年にかけて26.2%減少したことだ。

 

新しい観客が増えているのではなく、既存の野球ファンをきめ細かくフォローすることで、リピーターを維持しているのが、現在のプロ野球の活況だという。すなわち逆風の人口トレンドの中での必死の営業努力が実を結んでいるのである。

 

こう考えれば、Jリーグのチームにはまだまだ努力する余地が大きいのだろう。

 

しかも、プロ野球は明らかに大都市中心の展開である。Jリーグの持つ地方重視とは決定的に違った方向性だ。

 

さらに子供の絶対数の減少、習い事化するスポーツの中で、野球は親にとって手間と時間がかかることから、敬遠される存在になってしまっているという。

 

 

そのあたりの事情をこの本はこうまとめている。

 

 

日本で長らく 野球は「する」 スポーツであり、 同時に「見る」スポーツだった。 子どもたちは 公園や空き地で野球遊びをして、家に帰ったらテレビでナイター中継を見る。 だからこそ野球はナンバーワンスポーツとなり、プロ 野球は人気を博した。 しかし、時代の変化とともに公園で野球 をすると苦情が来るようになって禁止され、空き地は姿を消した。 公園で目につくのは頭を付き合わせるようにしてゲームの画面をのぞき込む子どもたちの姿で、スポーツに熱中する子どもはめっきりと減っていった。  加えて大阪や福岡、 広島、 北海道など限られた地域を除くと、地上波でナイターが放送されるのは 日本シリーズくらいで、 シーズン中はほぼなくなった。 2005年には巨人 戦の129試合で全国ネット中継が行われていたが、翌年から減少していき、 2010年に32 試合、 2015年には7試合まで激減。 野球は「する」と「見る」の両面で、日本のなかで存在感が薄くなった。

 

 

 

 

 サッカーに比べれば、野球はルールを覚えるのが難しい。僕らの世代が野球に抵抗感がないのは、やはり、地上波で毎日プロ野球をやっていて、草野球が最大の娯楽だった時代を経験しているからなのだ。やってみたことがあるからこそ、ルールがピンとくるのだ。

 

サッカーは学校の体育の時間の遊びぐらいの経験しかない僕は、いまだにオフサイドというのが感覚的にわからない時がある。

 

ラグビーに至っては、奇々怪々である。

 

子供が遊びの中でスポーツを体得していくという流れがなくなった時、プロスポーツというのはどのように存続していくのか。

 

Jリーグというものがどのように発展していくのかということを考える上でもとても示唆に富んだ本である。