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21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

Kickstarterというプラットフォーム

Tidalが本当に音楽を愛する人々の聖地(Destination)になりうるのかどうか。それが単なる音楽業界のデジタル配信の分野での競争に終わらないためには、今まで既存勢力のレコード会社が担っていた新しいミュージシャンの育成機能を誰が果たすのかという点を避けては通れない。リッチなスーパースターたちが、単なる自分たちの新しいLabelを作っただけにならないためには、リスナーと若いミュージシャンたちを結びながら、新しい音楽を作り出していく機能が必要だ。そのあたりが、よくわからないといえば、わからない。

 

リスナーが新しいアーチストのクリエイティブな活動を支援するというのは、ある意味、昔からある話だ。しかしインターネットの力を使って、そのあたりを一気に強化したのが、一団のクラウドファンディングサイトだ。

 

なかでも、Kickstarterはその独特の哲学で異彩を放っている。

 

Kickstarterとは何か。まずその規模を見てみよう。ホームページに行くと、2014年の活動規模が掲載されている。

 

https://www.kickstarter.com/year/2014/data?ref=yir2014

 

全体で22,252件のプロジェクトの調達が行われている。

 

金額にして5億2900万ドルの資金がサポーターによって供託された。総計330万人の人々が、様々なプロジェクトを金銭的に支援した。

 

様々なクリエイティブ活動が支援されている。

 

様々な分野で以下の調達が行われた。

映画/ビデオ         ;3,846件、6640万ドル。

音楽                     ;4,009件、3410万ドル。

出版                     ;2,064件、2180万ドル。

アート                 ;1,789件、1480万ドル。

テクノロジー      ;1,124件、1億2500万ドル。

 

いずれにせよ、この調達プラットフォームを通じて、これだけの件数、これだけの金額の支援が行われている。従来の公的支援を一気に追い越していく勢いだ。

 

 

じゃあ、Kickstarterとは何をやっているのか。

 

再びそのホームページにKickstarterで知っておくべき7つのことというページがある。

 

https://www.kickstarter.com/hello?ref=footer

  1. Kickstarter is a new way to fund creative projects. 
    (Kickstarterはクリエイティブなプロジェクトの資金調達を行う新しい手法だ。)


映画、ゲーム、音楽、アート、デザイン、テクノロジーなどあらゆる分野を対象としている。大規模なものから、小さなものまでさまざまなプロジェクトが、あなたのような人々の直接のサポートを通じて、この世に誕生するのだ。2009年にこのプラットフォームを始めて以来、830万人の人々が16億ドルの以上の資金をコミットして8万2000件のクリエイティブなプロジェクトの資金調達を支援してきた。現在も数千のプロジェクトが資金調達を行っている。

 

  1. Each project is independently created.

(様々なプロジェクトはそれぞれ独立に推進される。)

このプラットフォームを使って、映画製作者、ミュージシャン、アーチスト、デザイナーが自分たちのプロジェクトを、責任をもって、完全にコントロールしている。Kickstarterは彼らにとってプラットフォームであり、リソースなのだ。個別プロジェクトの開発に我々が直接かかわることはない。このプラットフォームのルールを守る限り、誰でもプロジェクトを始められる。

  1. Together, creators and backers make projects happen.

(クリエーターと支援者が一緒になってプロジェクトが始まる。)


リエーターが自分のプロジェクトの調達目標と締切を設定する。Kickstarterでそのプロジェクトを見て、気に入った人が、自分のお金をコミットするという流れになる。調達目標に到達しない場合には、このコミットメントを実行する義務はない。All-or-nothingというやり方はちょっと怖いかもしれないが、逆にプロジェクトに弾みを与え、アイディアの回りに人々を結集させるうえで、驚くほど有効なやり方なのだ。これまでのところ、全プロジェクトの44%が調達目標を達成している。これはかなり見事な結果だといえるだろう。

  1. Creators keep 100% ownership of their work.

(クリエーターが自分の作品に対して100%所有権を保有する。)

支援者の目的はプロジェクトが日の目を見ることであり、そこから金銭的な利益を得ることではない。書籍や映画のプロジェクトの場合は、支援者が手にするのは、完成した本や映画の観覧権である。かなり大きな資金コミットメントの場合には、映画だったら、プレミア上映会への招待や、あなたやあなたの友人のためのプライベート上映開催などのオプションが与えられることもある。大型展示物プロジェクトの場合に、展示が終わったあとに、すべての支援者にその展示物の一部が手渡されたこともある。

  1. Creative works were funded this way for centuries.

(クリエイティブな作品は何世紀もこういう方法で資金提供されてきた。)

 

モーツァルト、ベートーベン、ホイットマン、マーク・トウエインやそのほかの芸術家たちも同じような方法で制作費用の調達を行ってきた。大規模なパトロンからの支援に加えて、Subscriberと呼ばれる小規模なパトロンからの募金も募ったのだ。この支援の対価としてSubscriberは作品の初版や特別版の提供を受けていた。Kickstarterもこのモデルの延長上にあるが、ウェブの力で圧倒的にそのパワーは増している。

  1. Backing a project is more than just giving someone money.

(プロジェクトを支援するというのは単にお金を与えること以上のものだ。)

プロジェクトを支援するというのは、誰かの何かを作り出したいという夢を支援することなのである。友人のプロジェクトを応援する人々、自分が尊敬するアーチストをサポートするファン、この場所で生まれる新しいアイディアからインスピレーションを受けるためにやってくる人々、様々な人々がKickstarterには集まってくる。プロジェクトの中には想定以上に時間がかかるものもある。それでも起こっている問題や、遅延に対して率直に真実を告げるクリエーターに対しては理解を示す支援者も多い。

  1. Our mission is to help bring creative projects to life.

(私たちのミッションは、クリエイティブなプロジェクトの誕生を支援することである。)

 

私たちは、Greenport, Brooklynに本社を置く、従業員111名の独立の会社である。支援者やクリエーターの声に耳を傾けながら、Kickstarterを良くしようと日々努力を続け、新しいプロジェクトの発掘を行っている。プロジェクトが資金調達に成功した場合には、調達金額の5%の手数料を徴収している。

こういったクリエイティブなプロジェクトが世界をよりよいものにすると私たちは信じている。そして新しいプロジェクトをサポートすることにいつもワクワクしている。一つのアイディアを中心に支援者のコミュニティを構築することは、何か新しいものを生み出す上での素晴らしい方法じゃないだろうか。

Kickstarterの歴史や活動を眺めてみることで、音楽やその他のクリエイティブな活動に対して自分が払うということの意味やその変遷を考えてみたい。