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昨晩、プレミアリーグのリアルを垣間見た;日本対イングランド

昨日の日本代表のイングランド戦は、久しぶりに面白かった。実力差は言うまでもなかったが、日本代表に韓国戦ではまったくなかったスピード感が蘇り、前半だけでいえば、セカンドボールや、前線でのパスカット等もかなりの率で成功していた。

さらには、早い時間での、セットプレーからの得点が、イングランドの本気を引出して、後半はメッタ打ちに攻められながらも、それなりに見ごたえのある試合だった。

しかし、流石、イングランドもワールドカップ直前の試合とあって、後半からは、ジェラード、ランパードジョー・コールルーニープレミアリーグのスーパースター総見参とあって、凄いスピードの攻撃だった。

これがプレミアリーグなんだと思った。

ワールドカップの良さは、日本が活躍できなかったとしても見るべきところがある点だ。MLBとそこが決定的に違う点だ。日本人選手以外には感情移入できないスポーツと、日本人選手にこだわっていたらそもそも試合を楽しめないスポーツの違いかもしれない。

個人的に言えば、テレビゲームの質の問題である。FIFAコナミやEAに感謝すべきだ。

知らぬまに、世界中で、多くのファンが、ゲームを通じて、ドログバやらフェルナンド・トーレスなどのスーパースターは当然、マキシロドリゲス、グレッグ・ジョンソン、ファビオ・アウレリオなどのプレイヤーにまで感情移入しているぐらいだ。

リアルの世界で日本が韓国に大敗した時には、ゲームの日本で勝つだけではなく、オランダや、マンチェスターユナイテッドで大勝して憂さ晴らしをするのが、21世紀のサッカーファンなのだ。

そんな複雑な気分で迎えた翌朝。ヘラルド・トリビューンのRob Hugesのグローバルサッカーというコラムは、モウリーニョのレアル移籍のことを取り上げていた。

曰く、モウリーニョが世界を制した原点にはディフェンスがある。しかし今度彼が招かれていく、レアルマドリッドは、チケットを買って、スタジアムに駆けつける熱狂的なファンに対して、銀河系軍団を配して、見事なエンタテインメントを提供することを基本にしてきたFlorentino Perezが率いている。

彼も、大枚の金を払っては見たが、意味のあるタイトルからは遠ざかっている。

ただ勝つだけでは、満足できないオーナーと監督のせめぎあいがはじまることになる。

モウリーニョは、プレミアリーグの今期を制したチェルシーでも、大枚の金を使って強化したが、オーナーのRoman Abramovichが望むスタイルを達成できずに解雇された経験がある。

さて有名監督を立て続けに解雇してきたPerezが、さすがに意味のあるタイトルを求めて、どこまでその美学を譲り、ディフェンスというコントロールの美学で世界を制してきたモウリーニョが、どこまで、その原則を譲歩するのか。既にモウリーニョは自分のスタイルを付加するためにインテルから、SBのマイコン獲得に動き出しているという。

その微妙なバランスが、レアルの来期を決めていくことになる。

選手も監督も、この触れればいたるところから血がほとばしりでるような鮮烈さの中で生きている。

昨晩、後半、ぼくたちのまえで、そういった欧州サッカーのリアルの一面を垣間見られたことになる。

日本代表に期待するにせよ、しないにせよ、彼らが戦っているのはそういう条件のもとということだけは頭の片隅に置いておかなくてはならない。