21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

ビッグデータの社会心理学

ツイッターフェイスブックの投稿データを基礎データとした社会心理学的分析が、科学者たちによって盛んにおこなわれるようになっているらしい。

ビッグデータ社会心理学というような分野だという。ニューヨーカーのオンライン版の
MARIA KOTNNIKOVA
What Your Tweets Say About You(あなたのツイートがあなたについて語っていること)という面白いコラム。

http://www.newyorker.com/science/maria-konnikova/can-tweets-predict-heart-disease?intcid=mod-latest

国別、地域別の調査をしてみると、ツイートの中に、憎悪や後悔などネガティブな言葉の頻度が多い場所では、心臓病による死亡者の数が、ポジティブな言葉の頻度が高い地域より多いという結果が出たという。

統計学固有の相関関係と因果関係という問題がそこにあるのは当然だ。

ツイートする人々の年齢層は若い人が多く、心臓病で死ぬ人は高齢層に多いのだから、そこにどんな因果関係が成り立ちうるのかというあたりまえの疑問も湧く。

これに対しては、若い人々がネガティブな言葉で自己表現をするような生活環境が、高齢者の心臓病のリスクを高めるようなストレスを生み出す等の屁理屈なども考えられる。

まあこのあたりの、論争自体にはさほど興味がないが、その流れで、心理学者の意見として述べられたソーシャルメディアにおける自己表出、日記の持つ自己治癒性という点にひっかかった。いい意味で。

ツイッターフェイスブックで定期的に日記のような自己表現をしている人の感情はそうでない人や、自分の個室でだれにも見せない日記を書き続ける人よりも、癒される度合いが高い。しかも、第三者の反応がある形での、オープンな自己表出の自己治癒性は大きいと。

第三者からの反応というのは、それが、あまりにもはっきりとしたものである場合には、本当に自己治癒性があるといえるだろうかという疑問はあるものの、匿名のツイッターによる自己表出が自己治癒となりうるという点には深くうなずいてしまう。

それでなければ、9割が受け身の受信者であるというふつうのソーシャルメディア環境の中でも、性懲りもなく、誰に向かってということもなく、誰かの反応を求めているようで、求めていないような不思議なツイートを続ける人々がこれほど多いということを説明できないはずだ。

誰に向けてということもなく、無反応の中に、見えない一種の許容のようなものを感じながらツイートするということの癒しが存在するということは他人事ではなく、事実なのだから。