Radio 21:イノベーションが足りないと嘆く前に(Motley Fool)
アメリカにモトリーフールという投資用情報サイトがある。金融特に、インターネットの投資に対する力、Crowdの強さを示した先駆者の一つである。
今でも、基本的に自分たちで考えて投資をするというスタンスを続けていることに深い尊敬の念を抱く。
そのモトリーフールの、なぜ、マスコミはイノベーションが最近起こらないなどと嘆くのかという、イノベーションというものの本質を示す記事が載っていた。
飛行機も、自動車も、ペニシリンも発明された時には、誰も真剣に取り上げなかった。特にマスコミはイノベーションへの理解度は全くなかった。
飛行機を発明したライト兄弟を一番まともに取り上げたジャーナリストでさえ、あんなにまじめで誠実な若者が、飛行機作りなんて道楽遊びにうつつを抜かすなんてと嘆いたのだという。
レーザーも、発明された当時は、使い道がないと一言で片づけられた。
なんでこんなことになるのか。
イノベーション自体とイノベーションの受容には時差があること、マスコミがイノベーションの場所としてハイライトするのが間違った場所であることを理由としてあげている。
発明から受容までには数年あるいは数十年かかるのだ。
受容のプロセスをわかりやすくまとめている。
世界を変える発見に対する普通の人々の反応は以下の流れを取る。
- I’ve never heard of it.
(聴いたこともない) - I’ve heard of it but don’t understand it.
(聴いたことはあるが、理解できない) - I understand it, but I don’t see how it’s useful.
(理解可能だが役に立つと思えない) - I see how it could be fun for rich people, but not me.
(金持ちの遊びだ) - I use it, but it’s just a toy.
(使ってるが、おもちゃにすぎない) - It’s becoming more useful for me.
(だんだん便利さがわかってきた) - I use it all the time.
(いつも使っている) - I could not imagine life without it
(これなしでの生活は考えられない). - Seriously, people lived without it?
(実際、どうやってこれなしで生きているのか)
僕たちも携帯電話の急激な普及の中で、自分でも体験しているはずだ。
新しいものが受容されるには時間がかかるのだ。
アメリカでもマスコミはイノベーションがないと嘆いているらしい。
筆者は、だいたいマスコミがイノベーションの場所として大企業ばかり取材しているからだめなんだという。
大企業はここ数十年、株式の買戻しと高いコンサルタントを雇うことしかしていないんだ!と(笑)
たしかにいまでも、びっくりするようなイノベーションが無名の若者の手によって生じているのかもしれない。しかしそれが受け入れられるには時間がかかるのだ。
(以上)