読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

教科書のデジタル化はどこまですすむのか

アマゾンのデジタルブックの売上げが通常書籍の売上げを初めて超えたらしい。オンライン書店ということを割り引いたとしても、これはなかなかな動きのような気がする。キンドルというEリーダーを手にしたことがないので、Eリーダーのユーザーインタフェースがどこまで快適になっているのかがわからないので、これが本格化するかどうかは予想できない。

ただiPadを使うようになってから、新聞や雑誌をかなりよく読むようになったのだけは間違いない。ここで本まで、読むようになるかは、まだ定かではない。

大学の教科書市場というのは米国では約46億ドルという規模の市場だという。全体に占めるデジタル教科書のシェアはまだ5%だ。しかしタブレット人気に乗って、デジタル教科書は今後、かなり拡大するだろうというのが業界消息通の意見であるという内容のChristopher F. Schuetze 名義のニューヨークタイムスの記事。

http://www.nytimes.com/2011/11/24/world/americas/schoolwork-gets-swept-up-in-rush-to-go-digital.html?ref=technology&pagewanted=all

iPadキンドルに代表されるタブレット人気によって、デジタル教科書市場もようやく立ち上がり始めている。破格の値段で、期限を設けたレンタルビジネスなどが登場する中で、既存の書店の存在を脅かす日も近いという内容の記事だ。

約46億ドルという規模の大学教科書市場の約5%にあたるのが今年の秋のデジタル教科書の売上だったが、注意すべきは、春学期に比べて規模が2倍になっているということである。
Simbaという調査会社の予想によれば、2013年までにデジタル教科書の全体に占める割合は11%になるらしい。

最初に教科書出版会社がデジタル化に踏み切ったのは10年前だったが、ようやく最近になって市場が立ち上がりはじめている。タブレット人気などを受けての新しい需要に対応して、多くの教科書出版会社が、自社製品のデジタル化を急ぎ始めた。電子教科書レンタルサービスが注目を呼んでおり、この動きは、さらにデジタル化の動きにモメンタムを与えることになるだろう。

これは購入してから6ヶ月から18ヶ月間だけ利用できるようなサービス形態。

従来の本とは違って、転売はできない。

デジタル教科書のほとんどは最初の所有者にしかライセンスを認めず、高度なソフトウェア処理によって、コピーが出回らない仕組みを作っている。

こうすれば、デジタル教科書の価格じゃ印刷版よりもかなり低くできるというのが売りである。

この夏に、アマゾンはもっと短い期間のレンタルサービスを提供するために教科書大手3社と提携した。

30日間だけ教科書が借りられるというこのサービスを発表したときに、アマゾンは、印刷版の教科書の20%の価格でこのサービスが受けられるようにした。

ただ教科書を手元においておきたいという気持ちは根強いものがある。

こういう人たちには、デジタル版を買ったら、かなりのディスカウント価格で印刷版も買えるサービスが用意されるのだろう。

売切りであれレンタルであれ、デジタル教科書市場の成長は、タブレットの販売台数増にかかっているといってもいい。

世界中で今4000万台のiPadが販売されている。アマゾンはキンドルの販売台数を公表していないが、数百万台が既に売れている模様だ。

iPad人気の高まりが今後どんどん電子書籍への関心を高めることになるだろう。

ただ皆が思うほどすぐには拡大しないという意見もある。

伝統的な読書スタイルのもつ良さも捨てがたいからだ。飛ばし読み、メモ書きなどはタブレットでは難しい。

デジタル教科書の人気は今後も高まるとは思われるが、キンドルiPadのような標準的個人向けデバイスを使って学習することには問題があるとこの教授は続ける。

小説のような、伝統的な直線的語り口は、電子デバイスにも移行しやすいが、教科書はそう簡単にはいかない。理由は、教科書というものが、1ページ目から順番に読んでいくという代物ではないからだ。

大部の教科書を読みこなすには、どのあたりに必要な情報が書かれているかについての総覧的イメージが必要になるからだ。

「大学での学習をサポートするような専用デバイスが必要になるだろう。」

とはいえ、引き続き学生の間でデジタル教科書の人気は増している。5月に全米大学書店協会は、655人の学生を対象にアンケートをして、33%が専用のデジタルリーダーを使っているという回答結果を得ている。これは5ヶ月前に比べると19%増だ。この結果から同協会は、デジタル教科書についての転換点(Tippoing point)が近づいていることが読み取れるとしている。

伝統的な店舗経営の大学用書店もこの影響を免れることはできない。ペンシルベニア州立大学に隣接する学生用書店の経営者は、デジタル教科書人気のために、印刷版の売上が10%程度減少していたはずだと嘆く。

この書店もダウンロード用のデジタル版を提供しはじめたが、この転換は、既存の書店に対する大きな痛手となるだろう。

デジタル教科書は大学に隣接する伝統的書店の終わりの始まりになるかもしれない。学生たちが、教科書を買うための書店を必要としなくなりつつあるからだ。

(以上)