21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

ドイツ国民はギリシア叩きをしている暇があるんだろうか

ギリシア救済に関して、ドイツ国民の中に、あんな金遣いのあらい連中のつけを何故自分達が支払わなければならないのかといういわゆるEuro Scepticism(ユーロ懐疑主義)が強く、メルケル首相の与党の直近の選挙での敗北に繋がったという。

なんとなくわからないでもないが、なんとなく、フェアじゃない気もする。

ギリシアがユーロにタダ乗りしたというのはフェアな言い分なんだろうか。

細かいことは知らないが、多分、ユーロという通貨を決定する際には、加盟国の自国通貨の一種のバスケットのようなものとして理論値が決まるのだろう。

経済的にいって、ドイツが一番、強い通貨(高い通貨)だったとすれば、他の弱い通貨(安い通貨)と混ぜると、ドイツマルクよりユーロの方が割安になるはずだ。

そうすると、ユーロ圏外に対しては、ドイツマルクよりも割安な通貨で交易ができるわけだから、その輸出に対してはかなりプラスの影響だったはずだ。

域内についても、もっとも製品生産力があるわけだから、あたかも国内のように、ものを売ることができたはずだ。

これに対して、ギリシアなどは、弱い自国通貨に対して、当然割高なユーロで世界に乗り出すわけだから、通貨安による輸出競争力というものは望むべくもなかった。

自国通貨が弱いのに割高なユーロに参加することで、ドイツの輸出競争力を高めたり、域内輸出を助けた部分があるとすれば、それを忘れたギリシア叩きはフェアじゃない。しかも、ドイツの銀行が一所懸命ギリシアに貸し込んで、それで輸入が進んだという構造なのだとすれば、もっとフェアからは程遠い。

ただ、国民感情というものがそもそもフェアじゃないとは今更言うまでもない。

国民感情はともかく、ギリシアを救済せず、一時期、メルケル首相が国内に対するリップサービスもあって、ほのめかしたユーロ脱退などが生じると、国債返済が一度に悪化し、国債のデフォルトが生じる。すると、大量にギリシア国債を保有しているドイツの銀行の不良資産問題が生じ、それが波及効果を起こすと、欧州の銀行の不良債権問題が急激に進み、結果、ドイツ国民にツケが回ることになる。

フェアかフェアじゃないかはともかく、ギリシアはドイツ国民にとってもはや外部じゃないのだ。

ユーロの将来はまだまだわからない。

ギリシア問題は、いずれにせよ、日本国民にも、国家の未来というものについてリアルなシミュレーションの機会を与えてくれている。