リロケーションサポート 秘密兵器鈴木ウリセス
マネーボールという本はほんとに面白かった。オーランドのアスレチックスのGMビリー・ビーンは野球の世界で、それまで良い選手を選ぶ上で、基準とされてきた多くの常識を、すべて見直し、あらゆるデータとゲームの勝敗を結び付けて、もっとも、勝ちにつながる新しい基準を見つけだした。有名なのが、それまで完全に無視されてきた出塁率という数字を取り上げ、その、勝敗の相関性の高さから、この数字が高い、どちらかと言えば地味に見える選手(だから割安な選手)を見つけ出して、採用し、低コストで目覚ましい実績をあげた。
この考え方は今では野球だけではなく、サッカーなど多くのスポーツでのデータ分析の隆盛に繋がっている。
サイモン・クーパーとステファン・シマンスキーはこの流れをサッカーの世界に応用している。
この本の中で、無駄遣いをせず、安定的に優れた実績を出したサッカークラブとして、イングランドのノッティンガムフォレストとフランスのオリンピックリオンが取り上げられている。ノッティンガムについてはThe Damned Unitedという映画があってとても面白かった。
この二つのチームに共通するのは、無駄遣いをしないということだった。
Clip from The Damned United - Clough talks to his Derby team before facing Leeds
このあたりはコンサドーレのような地域の小規模チームがベンチマークとして追っかけても良いクラブ経営なのだと思う。
特にオリンピックリヨンは、サポーターも比較的中流で穏やかで、スター選手をやたらとありがたがり、負けると罵声を浴びせるようなプレミアリーグのファンとは一線を画している点が、クラブ経営を円滑に行う上でのプラスに働いたという。
このあたりは、負けた時でも、ブーイングをせず、選手の努力を讃える「優しい(甘い?)」コンサドーレファンに共通するような気がするので、じっくりと追っかけてみたいと思った。
手始めに、移籍市場で無駄使いをせず、良い買い物をするためのガイドラインのようなものをクーパー等があげているのを引用しておこう。
特に、ビッグクラブが移籍金や給料に大枚を払う癖に、見知らぬ土地にやってくる選手の相談に乗るスタッフを用意するというようなことに金を払うことはしないというあたりが面白かった。逆に、そのあたりのリロケーションサポートをしっかりやることで、ブラジル選手の定着率を高めたオリンピックリヨンのスタンスがとても参考になる。
このあたりの呼んできた外国人に対する過剰なまでのオモテナシという日本の特異な文化は、ことサッカーに関しては、うまく機能する可能性があるはずだ。
メディアへのエクスポージャーも高い、ブラジル人通訳の鈴木ウリセスを擁するコンサドーレなどはこのあたり先見性があるのかもしれない。
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