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21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

忖度の帝国 (Unspoken word behind a string of Japanese scandals)

2017年3月30日(木)18℃ くもり後晴れ

 

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フィナンシャルタイムスは、上役の意向を先回りして想定して、それに沿った行動をするという意味の忖度という言葉が、奇妙な形で、日本の政財界、メディアを覆っているというコラムを載せている。Leo Lewis名義。

 

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権力の肥大は、必然的に腐敗を加速する。その中心にあるのは、自己検閲と条件反射的服従である。それは企業であれ、政治であれ、構造的には同じように見える。

 

部下が、上司、トップの意向ばかりを見るようになるのだ。その結果、それ以外の関係者の利害は無視される。

 

今回のスキャンダルで、突如、日向に引き出された官僚の振舞が、忖度という自閉空間の持つ危険性を広く知らしめることになった。

 

ナチズムにおける暴虐と、国有地の低廉譲渡の間の距離は極めて短いのだ。

 

凡庸なる悪による専制だ。

 

その理論的中核を占めるのが忖度である。

 

独裁的経営者と独裁的宰相に対する対抗力としては、株主と有権者が存在する。

 

多くの忖度によって何十にも囲い込まれたトップも株主、有権者に対しては無力である。

 

株主(少なくとも公開企業の株主)と有権者の違いは、その反応の速度である。公開企業のトップは常に、株価という形での批判にさらされている。経営トップが忖度する株主の意向は、日々刷新されていくのである。これに対して、宰相が忖度すべき有権者の意向は複雑であり、間接的であり、選挙サイクルによってしか実証されえない。

 

その意味で、政治における忖度の危険性は高い。

 

強大な権力のもとで、重層な忖度システムに包み込まれた安倍晋三という政治家が自らが築き上げたシステムに復讐されているというこのコラムの見立ては正しい。

とすれば、強大な権力を有し、重層的な忖度のシステムに包み込まれた安倍一強状況を是正するためにも、彼が本当に忖度すべきものを示す僕たちの意志が必要となるのだろう。

 

一連のスキャンダルで語られていない言葉

Unspoken word behind a string of Japanese scandals
https://www.ft.com/content/c34706d6-13da-11e7-b0c1-37e417ee6c76

 

Sontaku refers to the pre-emptive placatory following of an order that has not been given.

 

「忖度は、命令されていないことに関して、先回りしてそれに阿る行為」とでも訳せばいいだろうか。

 

この今風ではない言葉の突然の流行は、この言葉が安倍晋三の時代を一言で表しているからなのだろうと。

 

さらに、彼は、忖度専門家(笑)によれば、国有地の低廉譲渡についての命令の証拠など見つかりそうもない。それもそのはずで、一連の命令は、首相とその妻が何を好むかに関する、数々の追従と憶測の連なりの中にしか存在しないからであると論を進めている。

 

この言葉が流通しはじめたため、昨年起こった、三つの放送局で同時に、安倍首相に批判的な3人のニュースキャスターの交代もこの忖度理論によって分析されるようになった。テレビ局のトップが、この忖度に長じているならば、明示的な命令などいらない。日本の多くのジャーナリストが、安倍政権が成立して以降のこういった状況を説明する用語として、自己検閲の同義語として忖度を使うようになっている。

 

経済界においても多くの剛腕のCEOが登場し、個別に忖度を誘発するオーラをまき散らしている。曙ブレーキの不適切会計問題の原因も、トップの意向を忖度する会計部門の過度の対応が公式に批判されている。

 

東芝の巨大な粉飾スキャンダルもまさにこういった心理状況の中で生まれた。

 

様々な意味で、忖度は、古典的な責任逃れとして用いられる。すなわち日本文化である、グループ思考や条件反射的服従など、個人的責任を希薄化させるために用いられる用語の一つに加えられたのだろう。

しかし安倍首相を巡る今回のスキャンダルにおける決定的な違いがある。

 

ここでの忖度には権力の中心を一瞬で見極める匠の業が存在することだ。

 

そして安倍首相が長年かけて個人的に、強大な権力を築き上げてきたという事実によって、このようなスキャンダルから無縁でいられた。しかし、ここで言うような錯綜した忖度の繋がりが、実際に作動していたとするならば、まさにその存在こそが、今の彼の個人的不満の源泉であるということに気づかねばならないと結論している。(以上)

 

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