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森友学園スキャンダルとは何か(国会証人喚問)

2017年3月24日(金)10℃ 曇り時々晴

 

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トランプ大統領の政策の実行可能性への、当然の疑念が市場を覆いはじめ、株安、ドル安の状況が生じ始めた。

ロンドンでは国会議事堂でのテロがイギリス中に衝撃を与えている。

 

ワールドカップ予選では、日本が宿敵UAEとのアウェイでのゲームで、香川、本田、岡崎、長谷部という長年日本代表をリードしてきた選手たち以外の新顔がゲームのイニシアティブを取り始めた結果の勝利だった。

 

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しかし、今日、少なくとも日本で、もっとも注目されたのは、森友学園の理事長の国会での証人喚問だった。テレビ、インターネットを通じて、多くの人々の眼を釘付けにした。(このことを軽く揶揄するツイートも見受けられたけど、やはりかなりの見ものだったことは否定できない。)

 

実際、寄付があったのかどうか、安倍夫人の経産相から出向しているスタッフからのファックスがあったとか、一喜一憂している。テレビ中継の中で、証人の発言の時々に、「おおー」という驚きの喚声が上がるのが、笑いを誘った。

 

しかし問題を単純に整理してみたい。

 

形式的な問題は、国の資産を市場価格の10分の1の価格で、入札ではなく、特定の対象に売却した、近畿財務局の一連の取引は、国の資産管理として妥当かということだろう。

 

この証人と、おそらくは、財務局が寄って立つ論拠は、市場価格は10分の1だが、実際には、土壌汚染、埋まっていた生活ごみの除去に伴うコストがほぼ10分の9近くかかるので、妥当な取引であったというものだろう。

 

今度の参考人招致での財務省の役人が、資料は捨てたとかわけのわからないことを言わずに、きっちり説明すれば、スキャンダルそのものが成立しないことになる。

 

それをしっかりと説明できないとすれば、すなわち、やはり、この土地はかなりのディスカウントで譲渡されていた嫌疑が高い場合は、次に、それは、誰かの意図を忖度した官僚の優遇措置ではなかったかということが明らかにされるというステップのはずだ。
 

どうも、そのあたりの前提を明らかにする前に、「忖度」の有無などという、玉虫色の議論をすることがおかしい。

 

外国人特派員協会の記者のように、財務省の役人に、あなたは安く売ったの?と聞けばいい。違うと言うならば、それが適切であるということの証拠を示せ、そしてその提示された証拠に対して、野党側が、第三者の専門家の意見を聞くという流れになるべきだ。

 

そのあたり、別の何かを議員たちが「忖度」するものだから、話は、外人のみならず、普通の日本人にとっても訳が分からない話になってしまった。

 

もし、実際に、不正な低廉譲渡があった疑いが濃厚になると、Webronzaで、政治学者の小林正弥さんが述べている見立てが、軍国主義的なものの復活を阻止するという観点に立つ人には、有用なロジックを提供している。ただ中国の脅威等につき、今一つ、安心していない、僕のような人間には、それをそのまま受け入れるというわけにもいかないというのが、ちょっと厄介なところではある。

 

今、僕は、安倍政権を3つの軸から考えるようにしている。

 

外交面から言えば、対米従属と呼ばれようが、ある種のリアリズムの中での判断が機能しているという意味で評価している。適切なリアリズムを維持しながら、天性の「機会主義」と、岸、安倍二代の特権的テキストを駆使して、破滅的な状況に陥らないということを期待している。

 

官邸主導政治という点は、近代資本主義の最大の悪を官僚主義の肥大と考える立場に立つので、財務省等からかなりのコントロールを取り戻したという点については評価している。官僚従属性の高そうな谷垣等が登場することは、望ましいシナリオとは考えていない。

 

極右勢力を、軽い言葉で利用していく方向性については、絶対に肯定できない。これは彼のかなりのアキレス腱になると思っている。機会主義的な形での一定の利用というレベルでコントロールできるのならば、まだしも、今回のように、「覚悟ある」暴走を止められるとは限らないのだ。この点において、つまみ食いができると考える、世界観、人間観の薄さが彼の最大の欠点である。

 

信頼できる第二党を生み出すことができない状況で、安倍政権に瓦解してもらっては困るというのが、安倍一強を支える、マジョリティの心理なのだ。自民党の後継内閣の能力と方向性についてのイメージは有権者として探っておくべき段階になってきたのかもしれない。

 

官僚主義と、極右復古勢力という二つの軸が妙な形で捩じれているということが、物事を一気にきな臭くしてしまった。

 

webronza.asahi.com

 

『つまりここからわかるのは、籠池氏本人の認識においては、実態として首相や首相夫人を先頭に国家やその中枢人物たちが支援したことで、この「神道小学校」の建設が可能になっていたのであり、これはいわば「国家神道小学校」のモデル学校だったということだ。だが国家の正式な手続きを踏んではいないから、議会も多くの国民もその実態を知らなかった。そこで、国民の財産である国有地を、ほとんど無償で払い下げてよいのかという疑問が生じたわけだ。

 

 これは、議会や多くの国民が知らないうちに、首相や官庁の支援によって「国家神道小学校」が秘かに作られて認可・設立直前まで進んでいたという疑惑である。前稿で述べたように、戦前は小学校こそが国家神道の中心的施設だった。

 

 それゆえ、今回の小学校において国家神道化が秘密裏にパイロット的に開始されつつあったとみられかねない。だからこそ、首相が寄付金を出していたかどうかが大事な問題になるのだ。

 

(略)

 

このような事態が進行すれば、今の教育体制は変質し、いつのまにか国家神道や道徳教育が復活してしまったかもしれない。私には、近代憲法における教育の中で異質のものが癌細胞のように徐々に大きくなっていくような感じがする。

 

 公共的な社会問題となったために国家神道小学校の誕生はひとまずは阻止された。しかしこのような体制的変化が止まるかどうかはまだわからない。正確な事実関係が証人喚問を通じて明らかになるかどうか、私たちは引き続き注視していく必要がある。』

 

webronza.asahi.com

『事実上は国家が土地を提供して神道的な小学校の建設を可能にし、幼児期から教育勅語などを覚えこませて近隣諸国への否定的意見を刷り込み、自衛隊になじませる――。戦前のような国家神道小学校を人々がここに感じても当然だろう。経営主体は国家ではなく民間の学園だから、正確には「国家の神道」小学校といった方がいいかもしれない。国家の支援によって作られた国家神道モデルの小学校だからだ。

 

 メディアもこの性格をまだ十分に報じているとは言えないだろう。それでも、事実を知るだけで何か異様なものを感じるはずだ。だからこそ野党が追及しメディアも報じ始め、多くの人々が衝撃を受けているのだ。まさに首相夫人を名誉校長として国家神道モデルの小学校が建設されていたことがわかったからだ。

 

 つまり神道小学校というよりもむしろ国家神道小学校だからこそ、大きな疑惑が生じているのである。このような教育施設が今の日本に誕生しつつあったという驚愕の事実が衝撃波を引き起こして人々の耳目を引き付けている。これは当然だろう。官庁が関わり国有地をほとんど無料で払い下げてこのような小学校が始まることになれば、日本という国家の力により戦前の国家神道をモデルとする学校教育をパイロット的に開始することになりかねないからだ。』

(以上)

 

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