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21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

オランダポピュリズムへの解毒剤としてのベーシックインカム(トランプのアメリカ)

2017年3月9日(木)12℃ 晴れのちくもり

 

114.536 ¥/$

 

右と左へ政治を引き裂いてしまうポピュリズムに対抗するには、中道政党が真剣に政治に取り組まねばならない。経済関連の統計値を次から次へと発表し、一喜一憂することが、政治になってしまったオランダのテクノクラート政治へ覚悟を決めることが必要と主張するオランダの若者のコラムがフィナンシャルタイムスに載っている。

 

欧米政治の先行指標としてのオランダ。右派ポピュリズムへの対抗策として、数多くのオランダの都市でベーシックインカムの導入の検討が始まっているという点がとても興味深い。

 

「リアリストのためのユートピア;そしてそこへの生き方」という著書を持つ28歳のオランダ人Rutger Bregman名義。

 

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Amazon.co.jp: Utopia for Realists: The Case for a Universal Basic Income, Open Borders, and a 15-Hour Workweek: Rutger Bregman, Elizabeth Manton: 洋書

 
Lessons from the Dutch on how to fight populism
It is not enough for centrists simply to churn out facts about the economy

https://www.ft.com/content/2b516512-034d-11e7-aa5b-6bb07f5c8e12

 

再び重要な判定の下る日がくる。3月15日。オランダ総選挙。

 

オランダには、既成秩序に対して反旗を翻す、生粋の極右ポピュリストがいる。

 

現在世論調査で、そのGeert Wildersは、保守党VVDの党首であるMark Rutteとつばぜり合いをしている。

 

西側諸国の右派ポピュリズムの最近の興隆を知りたければ、オランダを調べるに若くものはない。。

 

トランプが米国大統領選に本格的に参戦する数年前に、反イスラムの声を上げたオランダの政治家がいた。ピム・フォルタイン(Pim Fortuyn)だ。

 

フォルタインが2002年に環境保護活動家の銃に倒れた時に、VVDの元メンバーのウィルダース氏が、その後を継いだ。そしてフォルタイン氏のレトリックはさらに過激なものになった。

 

15年後にトランプ氏がタブーを一つ一つ破るのを見ても、オランダ人は一切驚かなかった。長年、ウィルダース氏とPVV(Party For Freedom)が、公然と、憎悪の宮廷(モスク)、ストリートテロリスト(移民の家族の子供たち)など罵倒の言葉をあげるのを聴き続けてきたからだ。

 

オランダは、早い段階で、グローバルに醸成されている新しい時代の精神を感じることのできる場なのである。1990年代には、「歴史の終わり」にもっとも近づいた。オランダの政党の同質性があまりにも高まり、VVDはその政敵である社会民主系の労働党とも二度の安定した連合を形成することができた。

 

 1995年に、当時の労働党の首相Wim Kokは、イデオロギー的な衣装を捨てることは心が解放される経験であるという発言までしているほどだ。

 

又、オランダ以上にテクノクラート政治が行われている国もない。

 

さらにポスト冷戦時代のひび割れを最初に経験した国の一つがオランダだった。

 

1999年頃には、オランダの社会調査機関は、政治に対する史上最高の国民の信認を報告していた。

 

北朝鮮以外にはこれほどの支持率の高さを持つ国はない。

 

ところが3年後、この支持率は半分に低下した。

 

右派のポピュリストだけが、国民の心を代表しているというのは間違いだ。

 

ポピュリストは、既にある国民の中の不満に対して、何かを付け加えただけなのだ。そこに911という強烈な追い風が吹いた。この追い風に乗って、ポピュリストたちは、この国を、右方向へと強引に引きずってきたのだ。

 

支持率の急落にもかかわらず、おかしなことに、経済運営に関しては、テクノクラート政治が続いている。2012年に、社会民主系と保守系が別の連立内閣を組成した。その年の11月に、中道の新聞de Volkskrantの一面には、「中道政治の復活」という文字が踊り、あたかも、ポピュリズムの後退のような印象を与えた。

 

オランダの中道政党は、米国、英国と同様、多くの経済統計値をただただ発表しつづけることを政治だと勘違いしている。それをプラグマティズムとか、ポストイデオロギーとかいうお題目で正当化している。たしかに景気が回復しはじめれば、真剣に考えるものがいなくなり、有権者も確かに戻ってきた。

 

しかし、今となっては、このやり方が行きつく先に楽観的になることはできない。GNPが上昇さえすれば、すべての傷をいやすことができるわけではない。過激なほどに、今までとは違ったストーリーが必要とされている。15年前のフォルタインのように突然大きな支持層を産み出すことができるような考えやビジョンである。

 

しかし何かがオランダの中で生まれようとしている兆しがある。

 

例えば、ベーシックインカムを求める草の根運動

 

3年前ならば、こんな考えを説く声はなかった。

 

今日、オランダの20の都市の首長が、ベーシックインカム導入を真剣に考えている。これは右派ポピュリズムに対する真の解毒剤となりうるものだ。

 

現状維持に固執するか、ポピュリストの論拠に譲歩するのではなく、普通の国民の手に物事を取り返すことができる一つの例なのである。(以上)