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21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

いつものパターン、地銀外債運用で含み損(トランプのアメリカ)

2017年3月9日(木)12℃ 晴れのち曇り

 

114.423 ¥/$

 

トランプが原因かどうかは別として、米国の景気は好転しているようで、それを受けて、金利上昇にも弾みがついてきたようだ。米10年債が2.563%。昨年11月の1.8%に比べてその利回りは、急上昇している。

日本国内にめぼしい運用対象が見つけられない日本の金融機関は、このところ、海外投資にかなりの資金を動かしていた。銀行、生保等、利回りを求めるものは、米国債中心の外債運用の比率を増やした。

 

トランプ政権後の、円安状況というのは、為替面から言えば問題はない。しかし、債券運用は、金利上昇には弱い。市場金利が上昇し、以前より高い利率の債券が買えるのだから、日本の金融機関が以前買った低い利率の債券の価格は下落する。

 

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少々のドル高による為替差益など吹き飛ばすほどの、債券価格の下落に直面している。

 

相対的に利回りを求める日本の投資家もドルのリスクをすべて取っているわけでもない。円高になった時の損失リスクを相殺するために、円高になった時に儲かるポジションを組み込んでいる。俗に為替ヘッジと言う。

 

こうやって為替リスクはそれなりに対応していたし、ドル高だから、ヘッジしない方が良かったぐらいなのだが、そもそもの投資対象である米国債券の価格が急落しているのだから目も当てられない。

 

日経の一面に、金融庁の地銀特別検査の記事が出ているが、国内に利回りのある運用対象がないので、外債運用に大幅に舵を切っていたが、米国の金利の上昇を受けて、保有している外国債券に大幅な含み損が発生しているのである。

 

金融庁、地銀に特別検査 まず3グループ

金利上昇、外債で運用損

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170309&ng=DGKKASFS08H5A_Y7A300C1MM8000

 

銀行のビジネスというのはそんなに複雑なものではない。お金を預けたい個人や企業から預金を集めて、それを原資に、お金が必要な個人や企業に対してローンをする。そしてローンの借り手からの金利収入と預金者への預金金利の支払いの差額が銀行の利益になる。

銀行の宣伝などを見ると、猫も杓子も、それ以外のサービス提供を売り込んでいる。しかしそれは、彼らが得意な分野ではない。彼らはあくまでも、預金を集めて、金を貸すのが本業なのである。

 

日本の銀行、特に、国内業務の比重が高い地銀の悩みは、この融資機会が枯渇していることである。過当競争ということもある。しかし本質的には、低成長に陥った国内経済が本質だ。

企業向け融資が伸びないため、最近、やけに目立ったのは、個人向けのアパート投資用の融資だ。頭金が少なくても、アパート投資ができるというCMが一時期やけにTVをにぎわせていた。アパートに入りたい人のニーズの高まりを受けてのアパート投資ではなく、個人の資産運用ニーズに基づく、アパート建設ブームが起こった。

 

不動産事業者と新しい貸出を伸ばしたい地銀が、なかば無理やり作り上げたブームだった。しかし、それも規模には限りがあるし、甘いセールストークでローンを借りて、投資を行った個人のデフォルトのリスクは、金利が上昇しない状況においても、空き室だらけのアパートが増えることで高まるだろう。これはおそらく時間の問題だ。

 

勢い、地銀の運用担当者の眼は、膨大な米国市場へと向かったのだ。

 

同じようなことが、為替の変動サイクルに伴って、何年、何十年に一度生じる。

 

何度経験しても、同じような間違いを犯し、そのたびごとに、間違いの規模が拡大していく。国内市場の低迷は筋金入りで、地銀という業種がどんどん存在理由を失ってきているからだ。

 

地方銀行は、地方の資金需要にこたえるのが、社会的存在価値であり、その得意分野なのである。その部分での存在理由を喪失しているとすれば、後は、消え去るしかない。

 

その自明の理に抗って、慣れぬことに踏み込み、痛手を被る。

 

消え去るべきものは消え去ればいい。不必要な救済は、結局、国民の税金の投下による救済という大きなコストを生むことになるからだ。

 

地銀が消え去ることで生じる、国民的コストとは何か。

 

オランダ国民の不平不満の中に、中小企業の事業資金の借入が困難であるという国内金融環境が含まれていた。オランダは3大銀行の寡占で、ローン金利も高いのが理由だった。

 

 

trailblazing.hatenablog.com

 

日本は銀行が多すぎるということで、地銀がどんどん吸収、淘汰され、大手銀行グループの寡占状況が強まれば、新しい事業を産み出そうとする中小企業の借入はより困難になるのかもしれない。

 

しかし地方銀行が地元銀行への活発な融資で、新しい産業作りに貢献という話はとんときかない。挙句の果てが、アパートローンだ。

 

今後寡占状況が強まればという上記の懸念は、既に日本では現実になっているのかもしれない。

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