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21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

禁止令は国家安全を損なう(トランプのアメリカ)

2017年2月20日(月) 18℃ 曇り後雨

 

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トランプ大統領は、少し作戦を練り直して、入国禁止令の出し直しをするらしい。しかし、すでに、彼が口にする言葉や、行動こそがまさに、アメリカを安全な国にするというそもそもの目的を台無しにするという、実にまっとうな意見が、ニューヨークタイムスに掲載されていた。

 

Sarah Lyons-Padillaというスタンフォードの研究者と、 Michele J. Gelfand というメリーランド大学の心理学の教授の共同の意見記事である。自分たちの共同調査結果を援用して、そのまっとうな主張には、社会科学的根拠もあるのだと述べている。社会科学的根拠というものもまたFakeであるとトランプは応酬するのかもしれないが、どうもこの結果は、社会科学の助けを借りずとも、多くの人びとの共感力に訴えるもののような気がする。 

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https://www.nytimes.com/2017/02/18/opinion/sunday/the-social-scientific-case-against-a-muslim-ban.html?ref=todayspaper

元々の大統領の禁止令の問題点の一つ目。

 

大統領が指摘した7か国の国民が米国にとって重大な脅威となっているという十分な証拠は今まで見当たらない。

 

二つ目。

 

特定の宗教のメンバーを実質的に差別するいかなる政策も、明らかに、非米国的である(Un-american)。

 

そして最後に、一番重要なのは、彼のこのような政策こそが、まさしくすでにアメリカの国土に在住しているムスリムの過激化を促進するということである。

 

最近、外交官、国家安全保障担当のOBたちがまさにこの懸念を公開で表明した。過激派のアメリカは反イスラムであるという主張に根拠を与えてしまったことで、むしろアメリカを危険な場所にしてしまったのだと。

 

これは根拠なき憶測ではない。

 

行動科学と政策という雑誌に2015年に発表された研究の中で、彼らは、禁止令のような政策こそが過激化を促進する可能性があることを示した。

 

https://behavioralpolicy.org/wp-content/uploads/2016/1-2/BSP_vol1no2_Lyons_final.pdf

 

約200人のアメリカ人ムスリムに対する調査を行った。

 

そのうちの半数は移民で、残りの半数は米国で生まれた人々だった。

宗教上の理由で差別された時の気分など、宗教的、文化的マイノリティとしての経験についての質問が行われた。

 

さらにアメリカ人とムスリムとしての二重のアイデンティティをどのようにバランスを取っているのか、イスラム原理主義グループや、彼らの過激な目標についてどう感じるかについても尋ねた。

 

調査結果は明らかだった。

 

調対象者が、文化的にホームレス、すなわちアメリカ文化にも他の国の文化にも完全に属していないと感じ、宗教上の理由で差別されていると感じれば感じるほど、自分たちの人生に意味を感じられなくなる。

 

そしてこの意味の喪失こそが、原理主義者や彼らの過激な大義を支持する気持ちへと繋がっていくという結果が得られたと。

 

すなわち、過激派は、一つの目的意識、確実性、そのために行動する人々への帰属意識を、こういった意味を喪失した人々に提供するのだ。

 

過激派グループは文化的にホームレスに感じているムスリムに狙いをつけ、西洋諸国は反イスラームであるという主張を徹底的に刷り込む。

 

この流れの中で、ムスリムはこの国では歓迎されておらず、真の米国民ではないという、トランプの禁止令の強いメッセージはまさに過激派に対して無料のプロパガンダを提供することになった。

 

ただ彼らは、自分たちの調査の中で、対象者の大多数が、アメリカ文化と自分たちの文化遺産を、自分のアイデンティティの中で統合したいと望んでいたことは希望であると言う。さらに過激主義に対する支持はきわめて低かった。

 

当然のことながら、トランプ政権が国家の安全を望むならば、アメリカのムスリムを疎外するのではなく、どのように統合するかを考えるべきなのだ。

 

ただトランプの禁止令の一つの歓迎すべき結果は、禁止令の影響を受ける人々との連帯を主張する非ムスリムの活動が全国に広がっていることだという。彼らは抗議行動の中で、「ムスリムは歓迎されており、アメリカの文化の中の重要な構成要素の一つだ」というトランプに対する異議申し立ての声を上げている。

 

本来であれば、我が国のリーダーからこそ、こういったメッセージは発せられるべきなのだ。

(以上)

 

 

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