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21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

トランプのアメリカ;マティス国防長官来日

マティス国防長官の韓国と日本に対する訪問についての記事が一斉に紙面をにぎわせている。米国の紙面は、裁判所による入国禁止についての大統領令の差止命令などにも大きく紙面は割かれてはいるが、ほどほどの報道度合いのように見える。内外の報道にもさほどの食い違いはないようだ。マティス長官の発言がニューヨークタイムスやFTでどのように報じられているかだけが気にかかったので少し丁寧に眺めてみた。

 

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まずニューヨークタイムスのShoulder to Shoulder(心を同じくして)発言についての引用部分。

 

Jim Mattis Says U.S. Is ‘Shoulder to Shoulder’ With Japan

 

“I want there to be no misunderstanding during the transition in Washington that we stand firmly, 100 percent, shoulder to shoulder with you and the Japanese people,” Mr. Mattis said at the start of a meeting with Prime Minister Shinzo Abe.

 

「ワシントンにおける政権移行の間も、我々が断固として、100%、安倍首相と日本国民と心を同じくしていることに一切の誤解はない」とマティス氏は安倍首相との会見の初めに語った。

 

“Due to some of the provocations out of North Korea and other challenges that we jointly face, I want to make certain that Article 5 of our mutual defense treaty is understood to be as real to us today as it was a year ago, five years ago, and as it will be a year and 10 years from now,” Mr. Mattis told Mr. Abe.

 

北朝鮮によるこれまでのいくつかの挑発行為やその他の両国が共同で直面する課題によって、私は、我々の相互の防衛条約の第五条は、1年前、5年前と同様今日でも、我々にとって現存しているという理解を確認した。そして今後1年後、10年後も同様である。」とマティス氏は安倍氏に語った。

 

フィナンシャルタイムスの韓国の国防省でのマチス氏の北朝鮮の攻撃に対する反撃についてのコメント。

https://www.ft.com/content/a220e68e-e900-11e6-893c-082c54a7f539

 

“Any attack on the United States, or our allies, will be defeated, and any use of nuclear weapons would be met with a response that would be effective and overwhelming,” Mr Mattis said at the South Korean defence ministry.

 

「米国や同盟国へのいかなる攻撃も、我々を倒すことはできない。そしていかなる形であれ一切の核兵器の使用は、効果的かつ圧倒的な我々の反撃に会うことになるだろう。」とマティス氏は韓国の国防省において語った。

 

これに対して日本も韓国も、こういった発言を額面通り受けとめるほどナイーブではなく、それなりに現実を受け止めているはずだというワシントンのマンスフィールド財団のFrank Jannuziの発言が引かれている。

 

 “Both understand that they are dealing with an unprecedented change in Washington to an . . . anti-establishment administration so they need to reset their expectations about the reliability. And I don’t think that is damage that is easy to repair . . . From here on out, there will be a new awareness in Seoul and Tokyo that the US is not quite the partner that they thought we were.”

 

「日本と韓国はそれぞれワシントンにおける反エスタブリッシュメント政権の成立という未曽有の変化に対処しなければならないことを理解している。その結果、自分たちの米国の信頼性に対する期待のリセットが必要だということも。このダメージは、修復が容易だとは思えない。ここからは、ソウルと東京においては、米国は以前彼らが考えたような意味でのパートナーではなくなったという新しい自覚が生まれるだろう。」

 

 

FTが報じた尖閣諸島についてのマティス氏のコメントはTillerson国務長官公聴会で物議を醸した強硬発言に比べればはるかに断定的ではなかった(Less Assertive)という記事。

 

James Mattis reaffirms US’s Asia policy

https://www.ft.com/content/908fa7e0-eabb-11e6-ba01-119a44939bb6

 

“I made clear that our longstanding policy on the Senkaku Islands stands. The US will continue to recognise Japanese administration of the islands and as such Article 5 of the US-Japan Security Treaty applies,” Mr Mattis said.

 

尖閣諸島についての我々の長期的政策は依然、有効である点を明らかにした。米国は尖閣諸島の日本による管理(administration)下にあるという認識は継続しており、それゆえ日米安保条約の第5条が適用される。」

 

この記事の中で匿名ベースで日本のシニア官僚からのコメントが報じられている。外務省サイドからのコメントのように思われるが、こういったあたりを追いかけていくのもなかなか面白いと感じた。

 

In private, senior Japanese officials have said one of their biggest fears is that Mr Trump could act unilaterally against North Korea, leaving them to face retaliation. One of their biggest early priorities has been to extract promises of consultation from the Trump administration. Tokyo is completely against any military action against North Korea. If Mr Trump wants to talk to Pyongyang, Japan is not necessarily opposed, but wants to hear the likely benefit of such talks.

 

「匿名ベースで、日本のシニア官僚は、彼らの最大の不安の一つが、トランプ氏が北朝鮮に対して単独で行動することであると語った。これによって日本は報復にさらされることになるからである。彼らの初期の最大の優先事項の一つが、トランプ政権から事前の相談の約束を引き出すことであるという。東京は北朝鮮に対する軍事行動に関しては全く反対である。トランプ氏が北朝鮮と対話をしたい場合には、それに対して必ずしも、反対はしないが、このような対話の可能なメリットについて聞きたいと考えていると語った。」

 

エスタブリッシュメントという異形の大統領トランプ氏がツイッターであたりかまわず爆弾コメントを放り投げる中で、トランプ直属の破壊分子ではない、専門家たちは、その磁力が薄れた場所で、既存の米国システムを維持しようと努力している。

 

トランプによって乱暴にパンドラの箱を開いた後、アメリカという国家システムがどのように現実に動くのかという生体観察が可能になっているわけだ。これはまさに未曽有の状況であり、その意味でも「トランプ」革命の名にふさわしい。