The Game Before The Game
MeerkatやらPeriscopeという最近話題のephemeral video アプリの情報をウェブサーフしていたら、アップルとBeatsのとてつもなく格好いいLong-formのCMクリップがあった。
世界一流のサッカー選手たちが、世紀の決戦の前に、Beatsの高級ヘッドフォーンで、試合前に自分の内側でのもう一つの試合を戦っているという5分間のビデオクリップだ。
Meerkat、Periscopeというようなshort-formのビデオのブームが、デジタル時代のこらえ性のなさを見事に体現しているというのはわからないでもない。
NHKの朝の連続ドラマの成功は内容もあるが、従来とは違う視聴層に、15分連続ドラマという新しいフォーマットの新鮮さを気づかせたからだという見立てがある。
そしてそれに納得している自分がいる。
録画型視聴が引き起こした大変化はとめどもない。文字数140字一杯に書いたツイートには字が多すぎて読む気がしない。長いCMなど見ていられない。すべては一瞬で関心をつかむ方向に走っているようだ。
5分間のビデオクリップというのをモバイルで視聴するというのは、ある意味で、気の遠くなるような長さである。
しかし作り手が、かけた時間と、情熱と、たぶんお金の大きさほどに作品には魂がこもるのであり、それは、長さというところでは測れないオーラのようなものを帯びる。
アップルというダウンロード視聴の市場の王者が、ストリーミング視聴へのシフトという大きな流れの中で、脅威を感じているという。
買収したBeatsを梃にして、Spotifyなどの先行者に対してストリーミング市場での巻き返しを図っているが、コンテンツの調達市場において、かつての殿様商売はできなくなっているという。
そういう文脈から見ると、このもう一つの戦いのビデオクリップは、アップルの戦いの歌のようにも見えてしまう。