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映画の時間:「沖縄 うりずんの雨」 沖縄という不都合な真実

神保町の岩波ホールの、決して座りやすいとは言えない座席で、決して短いとは言えない148分という時間、僕は、スクリーン上で語り続けられる戦中、戦後における沖縄の人々に降りかかった受難の歴史に声を失った。

 

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日本人である自分が、明かされる戦後史の中でも、無意識に目を背けてきた不都合な真実が、アメリカ人ドキュメンタリー作家のカメラの前で次々と虚飾なく明らかにされていく。

 

 

言葉はない。しかし自分たちの国の中で起こっている現実に目を背けるところからは、自分の未来が開けることはない。日本が閉じ込められている閉塞感の原点がそこにある。

 

 

原点にあるのは米国のMilitarismである。そして、それと慣れあって、足元の平穏を選んだ自分たちの欺瞞だ。

 

 

しかし、それほどまでに軍事国家アメリカというものの存在は強大である。どれほど、景気の良いことを言い立てたとしても,かつて日本にはPuppet Regime以外の存在が許されてこなかったという、日本人の自意識を傷つける現実が突きつけられている。

 

Roxane Gayが「私が許すことができない理由」の中で、白人中心主義に対して向けた言葉はそのまま沖縄そして日本の現実に強く共鳴している。

 

 

 

Mr. Roof’s racism was blunt and raggedly formed. It was bred by a culture in which we constantly have to shout “Black lives matter!” because there is so much evidence to the contrary. This terrorist was raised in this culture. He made racist jokes with his friends. He shared his plans with his roommate. It’s much easier to introduce forgiveness into the conversation than to sit with that reality and consider all who are complicit.

 

「Roof氏のRacismは粗暴で、しっかりとした考えとはいえない。しかしそれは我々が常に「黒人の生命の重要性」を叫び続けなければならないという文化の中で醸成されたものである。我々が叫ばねばならないのは、現実がその正反対だからなのだ。彼は人種差別的ジョークを友人と交し合う。彼は自分の計画を自分のルームメートに打ち明けた。対話の中に赦しを持ち込むことは、こういった現実とじっくりと向かい合い、こういった状態と共謀関係を持つものすべてを直視することよりははるかに簡単なことなのだ。 」

 

年間200名以上の女性がレイプの被害を受けているという現実。

 

Junkermanは、沖縄人、日本人、アメリカ人からのインタビューを通じて、アメリカの軍事基地が世界でもたらしている悲惨。そして兵士となった、自国民に与えている悲惨を暴き出している。

 

国内における政府の蛮行はすべて、海外の植民地における蛮行が輸入されて生じるというハンナ・アーレントの分析はアクチャリティを失っていない。

 

「兵士にとって最大の敵は、敵国の兵士ではない。自分の母国でありその政府である」(シモーヌ・ヴェイユ)という痛烈な言葉が蘇ってきた。