Radio 21:吉田秋生「海街diary」若草物語のように
昔読んだ記憶のあった吉田秋生の原作が読みたくなって、近くの本屋に行った。
現在進行中のドラマなので、今は第6巻。前に読んだのは2巻目までだったことが読んでいてわかった。
吉田秋生はBanana Fishを昔、全巻持っていて、何度も読んだ記憶がある。ストーリーテリングに優れた日本を代表する漫画作家。
「海街diary」も、若草物語、細雪のような世界文学に繋がる姉妹ものの傑作だ(というか傑作に肩を並べつつある。)
今回の映画は、既刊の、8割ぐらいをカバーしている。
第6巻あたりから、1年後の展開が始まっている。
すずの生みの母親の過去や、それに繋がる係累などが物語を新しく豊かにしつつある。
このあたりは、素材としては、十分に映画の続編に繋がりうる深まりがある。
映画の中でちょっと物足りなく感じたのが、死んだ父や母、父親の三番目の妻の描写が希薄なことだったが、原作の中には、より深い物語が書き込まれているし、これからも深められていくことになるだろう。さかのぼって、今回の映画に反映されたならば、より奥行のあるドラマになっただろうなと無いものねだりをしてみたくなる。
漫画が原作で好きだった映画に、うさぎドロップがある。この映画は、Childhoodのように、同じ俳優を使って、時間を主題にした作品に進化する可能性がある。それだけの覚悟で映画作りの資金調達をする人々がいるのかという話でもあるが。
芦田愛菜の愛らしさと、既にこの年齢で明らかに子役ではなく、女優になっているということの驚きがあった。
独りだけ幼稚園で、待たされて、ようやく来たお迎えを見たときの、穏やかで温かい表情などには思わずどきりとさせられてしまった。
原作の方は完結している。
となれば、あとは、リチャード・リンクレーターのBefore三部作やChildhoodを支えたような映画制作の足腰が日本にはあるのかという話になるのだろう。