Podcast:Mario Mack 私の娘はTransgender!
シングルマザーであるMario Mackが、Transgenderの娘の子育てに奮闘する How to be a girlというポッドキャストが素晴らしかった。
自分たちの心やその拡大したものである社会の隅々にまで組み込まれた「あたりまえ」のものの中から落ちこぼれてしまう真実(あんまり好きな言葉じゃないけど)がポンと置かれていた。
ただ素直に感動した。
6歳のTransgenderの女の子の可愛らしさと凛々しさ、悩み続けながら、その愛情が揺らぐことのないママの魅力。
それほど長くないシリーズの中に、様々な心の綾が満ち溢れている。
新シリーズも始まるらしい。
How to be a girl(私が女の子であるということ)
(このポッドキャストでは自分の子供の安全とプライバシーの観点から、子供の名前は匿名で通されている。ここではMと呼ぶことにする。)
6年前に初めての子供を授かった。男の赤ちゃんで、私にとってのただ一人の子供である。
2歳の頃から息子が、ピンクの洋服しか着ないと言い出した。
3歳になると、さらにドレスを着て、髪を長く伸ばすと強く主張するようになった。これに対して、家族(特に祖父たち)は不安を感じたと思う。この頃、自分は女なのに、男の身体になっているので直してくれと泣いた。
その後、数年間、私はこの状況を受け入れることができず、息子に、ドレスを着ても、バービー人形で遊んでもいいけれど、あなたは男なんだということを説得しようとした。
しかし息子は断固としてそれに抵抗した。私は女の子だ。
その後、私は、その気持ちを受け入れて、私の愛するBaby Boyにサヨナラを言った。
名前も女の子の名前に変え、今は、元気で、ハッピーな女の子になった。私は、こんな娘が可愛くて仕方がない。
それでも、たまに、サヨナラを言ったBaby Boyの写真を一人で眺めることがある。息子が恋しくて仕方がなくなる。あれはまるで夢だったのだろうかと思うことさえある。
目覚めるとそこには、可愛い娘のMが座っていて、ママ、それは夢よと言っているようだ。たしかに、彼女は、人生において男だったことなど一度もないのだ。
しかし私の悩みは絶えない。
Mに、女の子というものはどういうものなのかということをどうやって教えればいいのだろうか。実際、自分自身、女の子になるにはどうすればいいかなど改まって考えたことなど一度もない。
私たちは、比較的リベラルな地域に住んでいる。
それでも、幼稚園に入園するときに、先生方にはMがTransgenderであることは告げたが、園児の親たちにはそのことを明かさなかった。
Mも、自分が女の子のサークルでの居場所を失わないように、スカートや女の子らしい洋服しか着ないし、髪も長くしている。彼女にとって、私と同じブロンドの長い髪は、自分の居場所を保つための、とても大切な徴なのだ。
しかし、いつかしら、Mが身体的に男であることがわかってしまった。当然、騒ぎにはなった。しかし、理解のある幼稚園ということもあり、Pre Schoolの子供たちにとって収拾不能な問題になることはなかった。
その後、新しい学校に入ることになった。
リベラルな地域とはいえ、心配は絶えない。
しかし、ご近所や家族は、彼女のことを普通に女の子として受け入れた。
特に100歳になる私の祖母が、Mを普通の女の子として可愛がっている。
なぜなのと理由を聴くと、祖母は笑いながら、「年を取れば取るほど、皆、同じようになっていくものよ」と言った。
しかし、私の心配は絶えない。
バスタブの中で、Mの勃起を見てしまった時など、思春期を恐れる気持ちが大きくなってしまう。
Mの父親と私は、離婚している。これはMのこととは全く関係のない、二人の問題だった。
ただMをMiserable Boyではなく、Happy Girlとして育てることには二人とも納得していた。
信頼できる友達たちと娘の話をする。
いろんな情報を集めていく中で、いろいろな心配が生まれてしまう。
厳密な研究結果や統計調査があるわけではないが、500人に1人がTransgenderとしてうまれるという。
Sexual OrientationとGender Identityの問題が混同されることが多い。
でもTransgenderはGender Identityの問題だと思う。
特に、Mの場合は、性的志向云々する年齢ではない。彼女にとっては、洋服や、遊びの種類ではなく、女の子であるということが自分のアイデンティティなのだ。
思春期(Puberty)になって、それぞれの性的志向が決まってきて、Gay, Straightなど様々な個性が生まれてくる。
Transgenderは近代の産物ではない。ゲイの問題と同じで、社会がずっとその存在を隠蔽してきただけなのだ。
私が心配で仕方がないのは、全米平均の9倍だという、Transgenderが思春期を迎えるまでに自殺を試みる可能性41%という数字だ。
Mのように母親が、Transgenderである彼女のアイデンティティをサポートしているならば、この確率は下がるのかもしれないと祈ることしかできない。
Mが成長する中で、彼女の自分の意見のある強さや活発さが目立ってくる。
ある年頃までは、お転婆娘(Tomboy)というのはポジティブなイメージのものだ。
自信に満ちたクールな女の子というイメージ。
しかしMはVaginaをもって生まれてこなかった。
女の子のコミュニティの中で自分の居場所をなくさないように彼女は常に人知れず戦ってきた。ズボンをはかず、木登りもせず、自転車に乗ることもしない。
最近、そんな状況に変化が現れてきている。
彼女がポケモンや忍者に興味をもって、ピンクではなくブルーを好むようになったのだ。
ある日、とうとうスカートではなく、パンツをはくようになった。
6歳頃になるとSuper Girlishな好みは消えていくものなのかもしれない。お姫様ごっこの時代が終わりだした。
そんなMの成長が私には怖かった。
結局、私の娘は、男の子である自分に気づくのだろうか。
今では、可愛い娘を失いたくない気持ちが強くなってしまっているのだ。
当然、これは私ではなく、彼女が決めることだ。
何度も気持ちが変わる人もいるし、中間状態の人もいる。要は、そもそも、Transgenderといっても、様々な状況が起こりうるのだ。
Genderの問題が、衣服やおもちゃなどではない何か別のもの(Something else)であるということを、娘の方がわたしよりはるかに理解しているような気がする。
シングルマザーである私も、オンラインデートサイトのOKキューピッドなどを使って、デートをしている。
1年前、サイトでのプロフィールでの言葉の選び方などが気に行って、Johnとデートをするようになった。
すぐに二人ともお互いを気に入り、デートを続けた。Mのことは初めから、Johnには打ち明けていたが、そのことを取り立てて問題にすることもなかった。
親しくなってしばらくたってからのデートで、レストランでレッドワインを飲みながら、いろんな話をする中で、私は最近Transgenderコミュニティでの活動家などとの交流を話題にした。
しばらくは耳を傾けていたJohnの顔色が少し変わって、「随分熱心なんだね」と言った。
続けて「Transgenderなのは娘さんなんだよね?」。
私は、すぐに、当然よ。私の話ではないと否定した。
この会話が私の中で繰り返し蘇ってくる。そして私は娘に対して後ろめたい気持ちを抱いてしまった。
私は嘘を言ったわけではない。でも、私がすぐに否定することで、娘を裏切ってしまったのだ。嘘つきではないが、勇敢とはいえない。
Mが大人になって恋をしたとき、彼女は、相手に対してどういう態度を取るのだろうか。母親のように、愛されるために、臆病になってしまうのだろうか。
それとも、自分はTransgenderだと告白するのだろうか。
告白した後も、恋人は娘を愛し続けるのだろうか。
Johnと関係はその後、しばらくして終わった。あの日の会話はいまだに私の中に鮮やかな痛みとして残っている。
No one will love your child.
自分の子を誰も愛してくれないのではないか。
Transgenderの親にとっての最大の恐怖なのだ。
ある日、感じの良い男の子が、娘をありのままに愛してくれること。
娘に、ママはどんな人と付き合ったらいいかと聴いたことがある。
彼女の答えは、Nice, Funny, Normal. Kind, Generousだった。
ありがとう。Good Adviceだわ。
娘に対して、Transgenderとしての生き方について質問したことがあった。
彼女は、それに対してこんな風に答えた。
「ママやパパが最初にあなたは男の子よと言った時にどんなことを感じた?」
ママは私のことがわかっていないと思った。男の子と呼ばれるために、寂しい気持ちになった。私はどんな格好をしていても女の子だったから。
「Transgenderとはどういうこと?」
Boyの身体で生まれたが、自分はGirlだとしか思えない。
Pennisがあるからといって、自分がGirlであるとしか思えない人がTransgender.
「Transgenderであることの良いところは?」
自分が自分でいられること。
「Transgenderで辛いことは?」
他人にからかわれること。良い人は、質問をするかもしれないけれど、からかったりはしない。今まで、私はからかわれたことはない。
「Transgenderの女性になっていくということはあなたにとって何?」
Specialなこと。
「Transgenderの人たちと会ったときにどんなことを感じる?」
Less Alone in the world.
世界で一人ぽっちではないなと感じる。
「Transgenderじゃない女の子と付き合うときにどんなことを感じる?」
ちょっとだけ違いを感じることもある。
「男に戻りたいと思うことはない?」
絶対にない!
「Transgenderで悩んでいる人に何か言ってあげることはある?」
誰かが、自分にGirlだとかBoyだとか押し付けても、あきらめずに、transgenderについて説明し続けること。
Transgenderであることを絶対にあきらめないこと。
Don’t give up, not at all.
「子供がTransgenderで、自分たちがTransgenderのことを良くわからない両親へのアドバイスはある?」
自分の子供に、ママやパパが思うGenderになるように説得したり、押し付けたりしないこと。
「私は大丈夫?何か変えた方がいいことはない?」
かなりうまくやってるよ,ママ!