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21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

Podcast: ブームを持続するため資金調達は続く

ポッドキャスト中毒(Podcast Addict)になってから、本当に一日の時間が限られていることを痛感している。

 

どんなポッドキャストがあるかを調べ、ポッドキャストの産業構造を調べ、当のポッドキャスト番組を聴いて、それについて少しみんなに知らせなどしていると、理論的には寝る時間もなくなる。

 

それほどに、米国で起こっているポッドキャストブームは、一つのメディアが決定的に変化していくのをリアルタイムで経験する、きわめてパーソナルでワクワクする体験なのだ。

 

ユーザーの天国だとしても、クリエーターの地獄ならば、このワクワク感は続かない。

 

どうやって、こういったワクワク感が持続できるようになるかは、やはり、その経済性、お金が回るかどうかが重要になる。

 

http://www.storycentral.org/home/wp-content/uploads/2012/08/LeaThau-300x163.jpg

 

 

(Lea Thau: The host of Strangers)

 

 

ポッドキャスト新時代の資金調達まわりに注目したコラムがあった。

 

Is this the golden age of podcasts?

 

これはポッドキャストの真の黄金時代か

 

2014年11月24日

www.cjr.org

 

By Lene Bech Sillesen, CJR

Lene Bech Sillesen Archive - Columbia Journalism Review

 

http://www.cjr.org/mt-static/support/uploads/lene-final-web.jpg

シリアルという大ヒット番組によって、ポッドキャスト全体がインターネットや既存メディアの注目の的になった。

 

この大ヒットは、深いリスナーの参加意識(Engagement)を生み出す可能性を秘めているということを示すだけでなく、10年前に生まれたポッドキャストが今も存在している底力があることを示している。

 

「ずっとポッドキャスティングの世界にいるものには、これは突然の大爆発というよりは堅調な継続的成長の延長上にあると感じられる。」(Paul Riismandel,Midroll)

  

だからといって、シリアルの大ヒットがもたらした熱狂的なリスナーの拡大を否定する必要はない。

 

少なくとも500万人のリスナーが生まれ、彼らが日常的にこの番組の話題で盛り上がり、友人に教え、ツイートをし、独自の捜査まではじめ、自分の使ったネタや手がかりをコミュニティで共有するという形で、リスナーと番組の間の新しい繋がりを模索しはじめているのだ。

 

大ヒット作シリアルだけが、例外ではない。リスナーの参加意識を高めることに成功したポッドキャストは他にも存在する。

 

成功したポッドキャストは多かれ少なかれこうした強みを持っている。現在もリスナーの参加意識を高め、それを、クラウドファンディングや、長年のファンにするために様々な手法が試されている。

 

ポッドキャストの世界における、これらの継続的な実験は、他のメディア分野に対する貴重な実験ケースを提供することになるだろう。

 

しかも、こういったブームのおかげで、収益もかなり増加している。

 

シーズン2について発表したシリアルの製作者たちにとっては、これは良いニュースだ。彼らは、シーズン2の資金調達を具体的にどうするかを発表してはいないが、エピソード9で、その一部はスポンサーとリスナーの寄付によって調達をすることを明らかにした。

 

シリアルや、ポッドキャスティング全体の将来の資金繰りにとって良い兆しがもう一つある。ポッドキャスティングネットワークのRadiotopiaのクラウドファンディングの成功である。

 

ポッドキャスティングネットワークのRadiotopiaのクラウドファンディングが大成功したのである。

 

先週金曜日に、Radiotopiaは2万1808人の支援者から62万4412ドルを調達した。これはキックスターターのPublishing分野で最高額だ。

 

Journalism分野ではオンラインマガジンのMatter(のちにMediumが買収)が2566人の支援者から14万201ドルを調達したのが最高である。

 

 

この資金で、Radiotopiaは4つの新しいポッドキャストをラインアップに加えた。(シリアルファンにとっても楽しみなのは、この中の一つが本格的犯罪物だということである。)

 

さらに新しいポッドキャストの人材をサポートするためのパイロット開発資金も用意する予定だ。

 

資金のほとんどは、番組作りに向けられるが、Theory of Everythingは、有給のインターンシッププログラム、99%Invisibleはスタッフの賃上げ、医療費の補助などにも一部活用する。

 

Benjamen Walker's Theory of Everything | Personally connecting the dots. All of them. Radiotopian.

 

99% Invisibleは、自らも何度かキックスターターのキャンペーンに成功し、今も、Publishing分野の調達額ランキングのトップ20位に入っている。

 

99% Invisible | A Tiny Radio Show About Design with Roman Mars

 

「リスナーによるサポートは、パブリックラジオが開拓した、他のメディアにはないユニークな文化である。」(Jake Shapiro;PRXのCEO PRXはRadiotopiaの親会社)

 

こういったパブリックラジオのサポート文化をデジタルの分野に移行させるのは難しくない。

 

「オンデマンドの時代だから、人々は活発に自分が聴きたいと思うものを選択している。個性のある人間の声で語られるストーリーの魅力だ。

 

ラジオの親密さ(intimacy)にはリスナーの参加意識(Engagement)を高める、独特の力がある。驚くほどのサポートの盛り上がりだ。

 

キックスターターの支援者数はリスナーの参加意識の高さを物語っている。」(Jake Shapiro)

 

ポッドキャストや既存のラジオ局にとっての重要な収入源である広告主(advertiser)も、こういったリスナーの意識の高さは魅力的だとShapiroは続ける。

 

Radiotopiaは10月にニューヨークで、リスナーを招待した無料のライブイベントを開き、その場でキックスターターのキャンペーンを始めた。

 

このイベントによってリスナーとのつながりを作り、彼らの関心を高めることが目的。

 

Radiotopiaも、クラウドファンディングに長期的には頼るのは難しいと考えている。

 

「我々は持続的なサポートを得るための新しい方法を探さねばならない。」(Shapiro)

 

ポッドキャストのThe Mothの元エグゼクティブディレクターで、現在、Strangerの司会者であるLea Thauにとって、ライブイベントは取り立てて目新しくはない。

 

彼女は、定期的にリスナーとのつながりを作るためのパーティを開いていた。

 

Thauは、パブリックラジオ局と組むのに何度も失敗したあとにようやくThe Mothをリリースすることができた。

 

このポッドキャストが、全米規模のリスナー層を生み出し、リスナーからのサポートが得られるようなって初めて、ラジオ局側も関心を示すようになった。

 

ポッドキャストの世界では、クリエイティブでのハードな努力と、リスナー層の構築の両方が必要なのだ。その後に、運が良ければお金がついてくる。

 

簡単とは言えないが、以前と比べれば、ポッドキャスターにははるかに多くのチャンスが生まれているとThauも認める。

 

Thauはこう続ける。

 

「ラジオ局と組むことによって多くのチャンスが生まれてきている。多くのラジオ局が、デジタルやオンデマンドの流れに乗り切れないとそういったチャンスがすぐに失われることに気づき始めているからだ。多くの成功例が、ラジオ番組からポッドキャストという流れではなく、最初からポッドキャストで番組を製作するという形で生まれ始めていることがこういったトレンドを示している。」

 

ポッドキャスト分野における、きわめて戦略性の高いプロジェクトが、Gimlet Mediaの設立である。これは、This American Lifeの元プロデューサーのAlex Blumbergが、クオリティの高いポッドキャストを作成するための営利的プラットフォームとして作った会社である。

 

辣腕プロデューサのAlex Blumbergは、最初にStartUpというシリーズ物の番組をリリースした。この中で、自分の起業経験を時系列に物語るということで、広告主や投資家にアピールをしたのである。

 

一週間前に、Blumbergと共同創業者のMatt Lieberはクラウドファンディングも試みた。しかしキックスターターのような形ではない。企業が一般投資家からの資金調達を行うことを認めた2012年Jobs Actを使って、Gimletは20万ドルを調達するために、Gimletへの出資をリスナーに呼びかけたのである。

 

Mediumへの投稿の中や、番組の第7回で、Gimletの創業者たちは、投資機会の詳細を説明した。しかし法によれば、この出資は適格投資家(Accredited investors;年収20万ドル以上の人々)だけに限られている。

 

自分たちが行っていることにできるだけリスナーに関与してもらうためのクリエイティブな方法を考えることに全社をあげてフォーカスしている。資金調達はその第一歩に過ぎない。

 

出資資格に制限があるにもかかわらず、20万ドルの目標は1週間で達成された。

 

Gimletはエクイティの分野で、クラウドファンディング対象にリーチした最初の企業で、ブルックリンでJOBS法を活用した最初の企業になったという。

 

最近まで、メディアの傍流と思われてきたメディアにとっては、これはかなりの実績といえる。ポッドキャストは、クリエイティブな形でのリスナー参加を生み出すという点では、他のメディアに先駆けた存在なのだと、Blumbergは強く思っている。

 

Blumbergはさらに続ける。

 

「ライブイベントであれ、キックスターターであれ、他の特別なプロジェクトであれ、新しい方法でどうやってリスナーと繋がるかということばかり一日中考えている。」

 

シリアルのように、最初にリスナーに寄付を呼びかけることを約束するというのも一つのやり方だ。しかし寄付のまわりだけでうろうろするのも不要で、時代遅れかもしれない。

 

Thauはクラウドファンディングに本当の手応えを感じている。Blumbergは、同じく楽観的である。

http://i.ytimg.com/vi/2g8hFylGnvM/maxresdefault.jpg

 

Blumberg曰く、

 

「パブリックメディアは資金調達においていつも後ろめたい感じの中に置かれている。(in a very apologetic mode)これは全メディア共通かもしれない。

 

これは、たまたま歴史的偶然として、人々がメディアに対してお金を払わないモデルが採用されたことが原因なのである。

 

しかしキックスターターやIndeigogoなどのクラウドファンディングプラットフォームは、人々は自分が大好きで、情熱を感じるものに対してお金を支払うことは厭わないということを示している。

 

これはとても勇気づけられることだ。」

 

シリアルが従来の寄付以外にリスナーを動員するための方法を実験するかどうかは、まだわからない。

 

しかし当面、サスペンス好きのファンにとってはたまらない展開かもしれない。番組のプロデューサーは人気ポッドキャストの次のシーズン作りのための十分な資金を調達できるのか。これもまた一つのサスペンスだ。

(以上)