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政治の時間:安倍氏のHonest-ish(正直派)演説(FT)

同じ内容の記事をいくつか続けて読むと、重複する部分もあるが、重複しない点、その記事の個性が見えてきて読みやすくなる。

 

その意味では、一定期間のChain-Readingは不可欠だ。

 

FTのタカ派じゃなく正直派(Honest-ish)な安倍演説という記事。

Edward Luce in Washington

 

Honest-ish Abe talks up Obama’s pivot

 

 http://www.ft.com/cms/s/0/c20e6b0a-ee94-11e4-88e3-00144feab7de.html#ixzz3YkRSgr2c

 

(ここから内容の要約。直訳、完訳ではありません。)

 

 

 

Hawkish(タカ派)じゃなくて、Honest-ish(正直派)の方向転換を大声で指摘

 

他の海外首脳の演説に比べると、安倍晋三のスピーチは、観衆を奮い立たせるような(rousing)内容ではなかった。イスラエル首相のBibi Netanyahuの演説は、パラグラフごとに、安倍首相の演説全体に与えられた以上のスタンディングオベーションを受けていた。しかし安倍首相の提示した課題は成功の確率がより高い。上下院両院の議員に対する日本の首相として最初の演説は二つの明確な目的があった。第一に、アジアにおける米国の軍事的リバランスについて公にコメントすること。第二に、TPPの締結の確率を上げることだった。彼はアジア首脳の中でもっとも断固とした支持を、バラク・オバマのアジアシフトに対して行った。

 

安倍氏は中国や囲い込み(containment)というような言葉は決して使わなかったが、日米関係の強化によって中国の勢力の増大に対するヘッジすることが暗黙の主題だった。しかし彼の発言は軍事同盟の強化がどのように達成されるかについてこれまででより具体的だった。

 

 

アメリカの牛肉、米、自動車に対する日本の障壁を解体するために、日本からの具体的な公約を得ようとしていたTPPに懐疑的な議員のなかには、今回の演説に落胆するものもいただろう。

 

安倍首相は火曜日にホワイトハウスで行われたオバマ大統領との共同会見の際の内容の曖昧な公約に何も付け加えなかったからである。安倍首相の訪米がTPP交渉を最終決定への動きを促進するという期待もあった。彼の演説はTPPにおいて依然として何らかの打開策(breakthrough)が必要であるという懸念を付け加えたにとどまった。安倍氏の演説の中でもっとも目立ったのは、中国に対するベールをかぶせた言及だった。彼は12か国で締結される条約は「あらゆる国家の恣意的な意図から自由な」市場を構築するために締結されねばならないと発言した。

 

安倍首相は財やサービスについて語った時よりも、はるかに直接的に米国の軍事力の必要性について語った。この点において、彼は引き続き、前任者たちのスタンスを踏襲している。しかし彼の語り方にはより軍国主義的(militaristic)色合いが強い。日本はアメリカのアジアでのリバランスを徹頭徹尾支持すると述べた。

 

彼は具体的に米国が枠組みを作った(US-framed)日本国憲法を薄めることで、その防衛力をよりあからさまに(overt)使うことができるようにしようとしていることを説明した。日本はアジア地域で米軍とより完全な形で共同行為ができるような新しい信頼できる抑止力(credible deterrence)を構築する。日本はグアムの米軍基地の改修に20億ドル以上の資金を投入する。日本政府はまたインドや豪州との軍事関係を深めている。この両国は中国の忍び寄る拡張主義に対する最大の防波堤である。安倍氏はまたアジア水域に対するその原則を説明した。これは南シナ海(South China Sea)に対する中国の積極攻勢に対する反応である。

 

アメリカ人の耳には、安倍氏の言葉は、太平洋戦争終結後70年にあたって軍国主義的過去を悔いた、協力な同盟国の発言に聴こえた。彼は先例に比べて、バターン、コレヒドール、珊瑚海(Coral Sea)で命を落とした米国人に対する日本人の痛恨の念に言及した。

 

しかしアジアの隣国には、安倍氏のスピーチは新しいものは何もなかった。第二次世界大戦における「慰安婦」に対する日本の取り扱いに対する以前の謝罪から一歩も進むものはなく、日本の教科書における歴史的修正主義のトレンドを覆す方向性を保証したわけでもない。その意味では、この演説はがっかりする内容だった。さらにオバマのアジアシフト(Asia Pivot)への彼のサポートにも限界があることを指摘している。米国のリバランスは日米同盟にかかっている。しかし同じ日米同盟によって制約を加えられているのでもある。日本が中国を含む近隣諸国によって完全に悔悛した国家として受け入れられるまでは、米国の同盟者として安倍氏の使い勝手(utility)は諸刃の刃なのである。

 

(記事以上)