音楽の時間:Mumford & SonsがJay ZのTidalをディスった?
グラミー賞受賞のイギリスのフォークロックグループ Mumford & SonsがJay ZのTidalをディスったという記事。
そもそも、Mumford & Sonsも知らなかったので、検索してみた。
英国のフォークロックバンド。I will waitという曲を聴いてみる。なかなか軽快でエネルギッシュで良い曲だ。
少々Tidalへの反応も静まってきた。どちらかといえば、トップアーチストたちのプロモーション的な扱われ方になってきている。
Tidalに参加しないミュージシャンの声ということで少々興味深い。
中心メンバーのMarcus Mumford曰く、
Tidalに誘われてもいないし、誘われても、参加はしない。彼らのTribe(仲間内)入りする気はないね。とは言うもの、小さなバンドはもう少しお金をもらうべきだとは思うけどね。大きなバンドには、たくさん別の金儲けの仕方がある。だから文句も言える。僕らぐらいの規模のバンドは文句を言うべきじゃないと思う。Tidalがアーチスト所有の試みだといっても、結局は、あのリッチな一握りの連中のものってことだろうし。
このバンドは、Taylor SwiftがSpotifyとの絶縁した時の言い分にも異論があると。
Swiftの言い分は、
「音楽はアート。アートは重要で、稀少なもの。重要で稀少なものの価値は高い。だから価値の高いものに対してはちゃんとした対価が支払われるべき。だから私は音楽は無料じゃいけないともう。おそらく、そのうち一人ひとりのアーチストも、所属するレコードレーベルもアルバムの妥当価格(price point)を決めることになると思う。その時に、自分自身や自分の作品の価値を過小評価しないことを心から希望する。」
ギタリストのWinston MarshallもTidalやTaylor Swiftに対しては距離を置く。
Tidalに参加を表明した綺羅星のアーチストに対して、一言、
“new school fucking plutocrats” 新しいタイプの嫌ったらしい金持ちさ
とむべもない。
「Tidalのストリーミング革命とやらに参加する気もないし、Taylor Swiftになりたくもない。むしろ連中には反対だ。彼女の言い分もよくわからない。若干的外れな気がする。音楽というものも変化しつづけている。ストリーミングというのが今、人々が音楽を聴くやり方になっている。バンドとしてはそれに対応するしかない。自分の曲を広告に売り渡すというようなことではない。自分たちのアルバムはそれ自体単独のアートだが、自分たちのライブイベント用の広告でもある。」
「Tribe的なものに入っていきたくない。市場のほんの片隅を支配して、それを自分のものだと主張する。それは商業的なナンセンス(Bullshit)だ。僕たちは、自分でやるのではなく、誰かを雇ってやってもらう。僕たちがやりたいのは音楽だけだ。 Spotify、Beats、Tidalなどとの事業連携を模索したいわけじゃない。人々が一番気持ちのいい方法で、自分たちの音楽を聴いてほしい。そのためにはお金を払いたくないというのなら、それはそれでいいんじゃないかと思っている。」
Tidalに対しては違和感があるとは言ったものの、このグループも、今が若手の新しいバンドにとってとてもエキサイティングな時代だということは感じている。新しいテクノロジー(そしてインターネット)を使って、ミュージシャンがレコード業界という既存装置に依存せずに、YouTube, Soundcloud, レコーディングアプリなど経由で、録音やリリースができるようになっているからだ。
過去に比べて、今の音楽市場では、小さなバンドにも可能性が開けてきている。世界中に音楽を聴いてもらうためにはレコード会社との契約をする必要がなくなったからだ。テクノロジーが音楽業界を民主化した。関わる人々のお金の面でフェアに扱うやり方を考える必要がある。これほど自分の音楽のライセンスが簡単なことはなかったのだからと、冷静に自分たちをとらえているのが印象的だ。