21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

podcastの時間:RadiolabのLiving Room

昨日からRadiolabのLiving Roomという泣けるポッドキャストを繰り返し聴いている。ノンフィクション仕立てだが、語られる物語の、あまりの抒情性と深さに、虚構と現実の境が曖昧になってしまう。

 

小さな子供が一人いる夫婦の話。妻が語る不思議な隣人の話だ。18年住んでいたアパートの窓から近所のアパートの窓が見える。18年間一度も灯りがつくことがなかったある窓にある日突然灯りがともる。カーテンのないその窓は、映画のスクリーンのようだ。

 

若く、美しい男女の生活がその窓の中で始まる。そしてそれを見つめる家族は、まるで不思議な共棲感をもって、その暮らしを覗き見ることになる。

不思議なことは、若い二人はいつも裸だったのだ。

その若い二人の生と死を、深い共棲感で覗き見るその女性の声は、時に震え、時に涙がまじる。

 

とても不思議な物語だ。

最初に聴いたのは深夜だった。深夜の静かさの中で語られる言葉は、静かに心にしみた。哀しいことに、英語で語られる言葉は、シンプルだが、一度に完璧にその言葉や表現の綾を理解することはできない。

Transcriptがないか探してみたが、残念ながら見つからなかった。

 

何度も、聴くしかなかった。しかし、何度も、聴くことが、この不思議な物語に触れる一番適切な方法なのだという気がする。

 

このポッドキャストを配信しているRadiolabのHPを眺めてみた。

www.radiolab.org

Radiolabは好奇心(Curiosity)がテーマ。

音が考えを輝かせ、科学、哲学、そして人間の経験の境界を曖昧なものにする場所だ。

NPRに加盟している全米450以上のラジオ局で配信されている。

 

Radiolabは、現代世界における科学とテクノロジーに対する一般の人々の理解を高めることを目的に、National Science FoundationAlfred P. Sloan Foundationなどによって支援されている。

 

米国のポッドキャストのブームは、Public Radio Systemという非営利の番組制作活動の長い歴史の上に根差しているということを痛感する。

 

日本語の世界で、これと同じ視聴環境を産み出すには何が必要なのか。何ができるのか。それを考えてみたい。