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21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

ポッドキャスト新しい黄金時代へ:Medium ”A New Dawn for the Podcast"

将来は、音声、映像、テキストというものを時々のコンテキストに応じて、連続して視聴するという形式ができあがってくるのは確実だと思う。

 

その時、視聴者行動を誘導するときに、イニシアティブを取るのは音声だという強い確信がある。そんなこともあって、ポッドキャストが気にかかって仕方がない。

 

Twitterの創業者のEv Williamsが作ったMediumというコンテンツ配信プラットフォーム上で、ポッドキャストと検索してみたらポッドキャストの夜明けという記事が見つかった。アメリカの家庭や、自動車にラジオやテレビが広がっていた前史を踏まえて、今回のポッドキャストブームをどう見るかという非常に見通しの良い記事だった。

Jason Fried名義。

 

medium.com

 

20世紀の初めに、最初の商用ラジオを発明したのはイタリア人Guglelmo Marconi。その数年後、ブラジル人牧師が、世界最初に無線で人間の声を放送。

 

1920年に、米国で最初の商用ラジオ局が放送を開始した。

1922年に、英国で無線での娯楽放送が開局した。

1933年までに、FMが登場し、大不況の時期に、ラジオはアメリカ中の家庭におかれるようになった。

 

20世紀、急激なラジオ技術の発展によって、ラジオの回りでの家庭団欒風景が普通のものになっていった。家族団欒の場から読書というものの影が薄くなった時代でもある。

 

1930後半になると、ラジオドラマが大人気となる。ミステリー、スリラー、メロドラマ、コメディ。多くのアメリカ人戯曲家、映画脚本家、小説家がラジオドラマからそのキャリアを開始した。その中にはIrwin Shawなどの人気作家も含まれている。

 

ラジオ黄金時代だった。

 

家族は夕食を共にした後、居間で、集まって、オーソン・ウェルズが作ったラジオ番組などに耳を傾けただ。(メディア史上有名な宇宙人侵略ドラマ)

 

仕事場でも、バーでも、家族の集まりでも話題は昨晩の番組のことだった。

 

国民はラジオに熱狂し、もっと多くの番組を望んだ。

 

第二次世界大戦中、アメリカ人はラジオにくぎ付けだった。ラジオが国民の心を一つにもした。歴史上はじめて一つの番組に皆が耳を傾けたのだ。

 

第二次大戦後、家庭用テレビが爆発的に売れる一方で、車の中に、ラジオが取り付けられた。

 

そしてアメリカの家庭生活が激変した。

 

家族はラジオのまわりに集まることはなくなった。

 

その変わりに、皆でテレビを見ながら食事をするになったのだ。

 

TVは米国の家庭を深い意味で破壊した。

 

車の中で聴くものに変わったラジオからは、バラエティ番組や連続ラジオドラマは消えた。音楽を流すことと、トークラジオが放送の中心となり、小さなラジオ局でも数人のホストが朝から晩まで、常連のドライバーや、労働者相手に、語り掛けるというフォーマットの低コストのパターンに変化した。ヘッドラインニュースも30分おきに流すようになり、聞き逃すという心配がなくなったのだ。この段階で、ラジオはかつてとは別の新しい何かに変化したのである。

 

そこから60年間、他の多くが激変する中で、ラジオを取り巻く環境は変わることはなかった。

 

音楽を伝える媒体はレコード盤からテープそしてCDに変わった。

 

それぞれにウォークマンディスクマンで自分の音楽を持ちあるくようになった。車の中ではトークラジオ。音楽はイヤホン。

 

最後にmp3が登場した。そしてNapsterも。

 

そしてすべてが変化した。

 

iPodが生まれ、胸ポケットの中に、好きな曲を数千曲携帯することが可能になった。容量はどんどん増加しつづけている。

 

2000年頃に、最初のポッドキャストが登場した。

 

2004年までに、ポッドキャストiPodの公式メニューに含まれるフォーマルな存在になった。

その後、急激とまでは言えぬが、着実にアマチュア、プロのクリエーターたちがネット上でラジオ放送を配信する方法として成長してきた。

 

ポッドキャストという言葉自体が、iPodという音楽プレイヤーの名前にちなんでいることすら、忘れそうな勢いだ。

 

気づけば、ニュースメディアもリスナーの視聴時間の獲得を競い合って、このフォーマットで自社のコンテンツを流すようになっている。

 

そして10年後の今。

 

ポッドキャストの世界で、欲しいものが、欲しい時に手に入るようになった。

 

DVRが私たちのテレビ番組の視聴行動を変えたのと同じように、ポッドキャストはラジオを視聴する行動から、空間と時間の制約を取り除いた。

 

ラジオは、もはやダイヤルを合わせるものではなく、音楽のように、自分が持ち歩いて、自分にあった環境で聴くことができるフォーマットに変化した。

 

朝の通勤で聴く、Radiolab,夕飯を作りながら聴くHardcore History。

 

(このRadiolabというのがなかなかいいコンテンツを配信する。昨晩は、最新版のLiving Roomという泣ける話を堪能した。)

 

 

ポッドキャストの一番大切なことは、自分で聴く時間をきめられるということだ。

 

車の中にラジオが据え付けられた時に起こったような深い変化がラジオの世界にも生じているはずだ。クリエイターの番組の作り方も、今の視聴行動の変化を前提に変わっていくことになる。

 

大人気シリーズSerialはその最初の成功例に過ぎないのである。

 

Serial

Serial

  • This American Life
  • ニュース/政治
  • ¥0

 

人気シリーズSerialが火をつけた熱狂はかなりのピークを迎えている。皆が、Serialの最新のエピソードの話をしている。ポッドキャスト人気のかなりの部分をSerial人気がひっぱっている。Serialというポッドキャストだけでなく、Serialを語るポッドキャストが生まれるというような。

 

新しい状況で目を引く点がある。現実には、ほとんどの人気ポッドキャストが、ラジオ番組や既存のニュースメディアやTV番組の二次利用だ。しかしその一方で、プロ、アマ問わず、様々なクリエーターたちがこぞって、録音スタジオやガレージや押し入れで、このメディアのためだけに、大量に作成しているのだ。

 

文字通り、あらゆるものに関するポッドキャストが存在する。筋トレ、哲学、コメディ、サイクリング等々。

 

ブームの火付け役のSerialはなぜ面白いのか。

 

理由は次回、何が起こるのか、早く知りたくてしょうがないからだ。

 

30年代、40年代のラジオドラマ黄金時代再来への扉は開かれたのだ。

 

遠からず、友人とアプリで聴いたドラマについて話に花が咲くという時代が来る。

 

その番組には、知っている俳優もいれば、音響効果も一流で、製品広告(Product Placement)も組み込まれるなど、かなり豪華な視聴体験を提供してくれるはずだ。

 

 

連続ラジオドラマ(serialized radio)という言葉が生み出す広範なノスタルジーをみても、私たちが新しい時代を迎えていることは明らかだ。

 

広々とした未開拓の広々とした平原が広がる中、私たちには想像もつかないような新しいコンテンツを生み出すクリエーターの登場を心待ちにしている。

 

無機的な時代の中で、人は皆、親密さ(intimate)を強く求めている。車というひとりだけの場所、通勤時のヘッドフォンを通じて、クリエーターが直接に語り掛けてくる言葉は昔のラジオ放送にはない親密さを伝えてくるような気がする。このメディアの未来を考えるうえで、この点は、記憶にしっかりととどめておくべき点なのだろう。(以上)