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Jay Z:ストリーミング戦争へ参戦

ソニーの衰退と、僕の音楽への関心の薄れ方はおんなじ波動のようだ。

音楽といえば、ウォークマンか、携帯ラジオで聞くものだった。携帯端末がiPhoneになってから、インターネットラジオPodcast中心の視聴になり、音楽というよりは、ニュースやインタビュー番組中心の視聴になっていた。

 

そんな僕が、最近、無料音楽クラウドサービスのサウンドクラウドにはまっている。

なぜか、ラップ分野がすんなり入ってくる。息子に今更だねと笑われたが、気に入っている。

 

昨日はJay Zの曲を聴きながら、満開の桜のそばを散歩した。

 

 

そんなJay Zが買収したTidalで、音楽ストリーミング業界に参入というニューヨークタイムスのニュース。

http://www.nytimes.com/2015/03/31/business/media/jay-z-reveals-plans-for-tidal-a-streaming-music-service.html?hp&action=click&pgtype=Homepage&module=mini-moth&region=top-stories-below&WT.nav=top-stories-below

 

最近話題のEmpireというテレビシリーズなど、何かと話題の音楽産業だ。

 

SpotifyやPandoraラジオ(著作権問題からか、配信停止になるまでは、このインターネットラジオは重宝していたなあ)などの巨大プラットフォームに対抗するJay Zの戦略はただ一つ。

 

アーチストのためのプラットフォームの構築。

 

 “This is a platform that’s owned by artists. We are treating these people that really care about the music with the utmost respect.”

 

Tidalのオーナーは、RihannaKanye West, Madonna Nicki Minaj, Jack White, Alicia

Keys, Jason Aldean, Daft Punk, Beyonce.

 

マドンナ、ビヨンセはともかく、Alicia Keysあたりぐらいしか名前の見当がつかない。かくも長き不在かなだ。

 

Spotifyフリーミアムモデル(無料ストリーミングが有料会員を増やす戦略が気に入らないとSpotifyと袂を分かったTailor Swiftと同じ方向性ということなのだろう。

 

自らもスーパースターであり、総合音楽会社Roc Nationの社長のJay Zの音楽業界へのパワーは無視しがたいもの。

 

http://rocnation.com/about/

 

しかし彼が参入する音楽ストリーミング業界には世界中に6000万ユーザー(有料会員 1500万人)のSpotifyを代表とする巨大プラットフォームが存在する。しかも、アップルもBeatsとがっちり組んで、巻き返しを図ろうとしている。

 

Tidalの有料ユーザーは51万2000人。

 

いくら無敵のJayでもそんなに簡単な戦いではない。

 

ミュージシャンは志には賛同しても、版権などは、自分で管理していないという大人の事情もあるわけで。

 

エンタティメントとソーシャルメディアのハブとして、コンサートチケット販売までを巻き込んだ大掛かりな仕掛けを予想する人たちもいる。

 

参加するアーチストは、独占的コンテンツの提供の対価として一定の売上シェアを受け取るというモデルのようだ。

 

Jay Zは、これまで散々に搾取されてきたアーチストのFair Shareを取り戻すという理想を掲げる。

 

 “Everyone knows that the pay system is unfair to artists. Everywhere else, everyone gets compensated for their work. Music is everywhere—you consume it every day, everywhere you go. The content creator should be compensated, It’s only fair.”

 

発言もEveryone, Everywhereと韻を踏んで、繰り返すリフレインと、さすがミュージシャン。

 

迎え撃つSpotifyは、わがプラットフォームにこそ、音楽ファンが存在する。わがプラットフォームこそ、アーチスト、レーベルともに理想の場だと意気軒昂である。

 

独占コンテンツは供給できても、巨大Audience層にはリーチできない。有名にも限界があると冷ややかな声もちらほら。

 

そんな声にもまけずJay Zはこう締めくくる。

 

“I just want to be an alternative. They don’t have to be lose for me to win.”

 

アーチストにとっての選択肢を増やすことが我が使命。

 

音楽ストリーミング戦争は確かに始まったばかりのようだ。