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21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

アジアで働く若い日本人(NYT)

ニューヨークタイムスのタニカワ・ミキさんが、アジアで働く若い日本人の状況について、
「多くの日本人が自分自身をアウトソーシング」(Many in Japan Are Outsourcing Themselves)という記事を書いている。

この記者が、どちらかと言えば、アッケラカンと描いているのが、事実なのだろう。ただ、そのアッケラカンさを、無思慮と批判することもあまり意味がない。

これが事実だ。国家が無策だと嘆いても、物事は始まらない。人はそれを前提として動き始める。

ただ、記事の中でインタビューされているのが女性ばかりというのは、記者の取材の限界なのか、それとも、軽々と、アッケラカンと国境を飛び越えるのは、女たちだということを表しているのか。そんなあたりがちょっと気になった。

http://www.nytimes.com/2010/07/22/business/global/22outsource.html?_r=1&ref=global-home&pagewanted=print

2008年のリーマンショックの頃から、アジアの大都市に日本企業から地元採用される若い日本人が増えている。

ナトリさんという日本人の若い女性は、バンコックのコールセンターで、日本人の顧客から問い合わせに答える仕事をしている。

日本企業は、コスト競争をたたかうために、国内の事務作業を続々と中国や東南アジアに移している。

ただ日本企業の場合は、米国の企業が英語を話すインド人を擁するインド企業に単純にアウトソースするというのとは少々違った問題を抱えている。

アジアの大都市に進出する日系アウトソース会社のトランスコスモスやマスターピースは多くの現地採用の日本人スタッフを増やしている。こういった人々は、バンコック、北京、香港、台北などのアジアの大都市で、コールセンターのオペレーター、データ入力業務、テクニカルサポート業務などを行っている。

日本企業が、日本語ができても、日本の文化、マナー、礼儀のようなことを理解しない現地社員のサービスに満足しないという特性に対応してこういった日系企業による日本人の現地採用が生じているわけである。こういった現地採用に応じて渡航しているのは、日本国内の就職難に直面した若い日本人たちだ。どれだけの日本人が国外で、低賃金で働いているかについての正確な統計データは得がたい。ただ、総務省に調べによると、日本の労働者の海外就労数は過去20年間で最大の水準に達しているらしい。

日本企業の海外駐在者の比率はどんどん低下し、若い日本人たちの比率が上昇している。彼らが目指すのはアジアの大都市だ。

バンコック、香港、ジャカルタニューデリー、上海、シンガポールなどには日本人対象の職業あっせん会社が複数存在するという。

ナトリさんが働くバンコックでは日本のアウトソース企業が4社コールセンターを運営している。この都市は、生活コストが低いが、生活環境は悪くなく、若い日本人が楽しめる生活水準が得られるという意味で魅力的な街だ。

バンコック最大の日系コールセンター運営事業者であるトランスコスモスは日本人従業員数を倍々で増加させている。

ちなみにトランスコスモスのコールセンターオペレーターの初任給(月)は約3万バーツ、930ドル(8万円)だ。これは同じ従業員が東京でもらう給料22万円の半分以下。トランスコスモスの顧客にとっては、日本に比較して30から40% のコスト削減が可能になるのである。

スターピースという日系企業は、北京や大連で、通信販売への対応、タイムシートの処理、給与関連事務、Eメールへの対応などを行っている。この企業は、日本人と中国人の両方を採用している。

政府統計によると、5月に日本の雇用数は24万減少した。過去20年間で最低の水準である。その結果、失業率は5.2%にまで上昇した。2009年末から輸出は回復してきているが、経済成長はいまだ低水準である。GDPは2010年の初めの3ヶ月で前年同期比1.2%拡大した。

日本国内は、超過供給力、過当競争、低成長、終身雇用的慣行などの負担がすべて若年労働層にかかっている。

低賃金とはいえ、ナトリさんのような海外の労働者は、そんなに不幸を感じているわけでもないようだ。むしろ、新しい自由の感覚を持ち始めているという。

ナトリさんは、最近、オペレーターから、業務を監督する立場に昇進したし、日本にいるより、タイの方が貯金ができるという。

タイのレストランで食事をすると30バーツ、家賃は6000バーツ、光熱費はいっても500バーツ。彼女が住んでいるのはバンコックの広々としたアパートで、セキュリティも良く、24時間利用できるプールもついている。社会的、企業的圧力が私生活にどんどん食い込んでくる日本に比べると、タイでの生活は快適だという。私生活と労働をきっちりと区別できる。こういった区別ができるので、仕事にむしろ集中できるぐらいだ。

日本の両親も友人も良くタイにやってくるので、ホームシックになることもなく、いつ日本に帰るのかも決めていない。

日本が高齢化し、経済が縮小し、日本企業が海外展開をどんどんはかる中で、日本人にとっての海外での働く可能性は高まると思われる。

確かに、日本人でなく、地元従業員を雇った方がはるかに安くつくが、日本企業が日本人を好むという状況はそんなに変化しないはずだ。

「一つのことを言えば、日本の従業員は3つを察してくれる。西洋の文化では、スタッフに伝えたいことははっきりといわなくてはならない。しかし日本のマネジャーたちは、言葉にしなくても理解してくれることを期待するのだ。」 (以上)