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21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

中国の住宅問題はよりファンダメンタルな社会問題

今日はカナダ中銀が政策金利の利上げを発表した。金融危機後G7初の利上げである。昨日のクルーグマンのコラムで話題になっていたOECDがカナダに対しては即座の利上げを推奨していたらしい。日経でも報じられていたが、その背景については何も書いていなかったが、住宅市場の過熱が利上げの背景にはあるらしい。カナダの銀行システムは今回の欧州危機からは無縁だったらしく、結果、住宅ローンの手当がしやすいので、利上げになる前にということで、住宅投資が増加しているとのこと。

欧米では壊滅状態の不動産市場も、政府や中央銀行が過熱を心配しなければならない市場が世界には少なくとも二つあるわけだ。

そのもう一つである中国の不動産市場への中国政府のスタンスの変更についてのフィナンシャル・タイムズの北京特派員 Geoff Dyerの「中国の不動産リスクは米国よりも大きい」という記事。

中国の住宅市場の過熱は、家を持てない若者たちの不安や、不公平感を高め、社会問題化する可能性があるという論点が印象的だった。

中国政府は、住宅市場の抑制や、沿海部の工場での賃上げ容認を通じて、不公平感の是正という目的に向かって政策運営されている。市場や海外との対話の手法は、さすがに大国の風格があって、ある意味、見ごたえがある。

中国の中央銀行のアドバイザーである清華大学教授のLi Daokuiが、政府の発表に先立って、かなり率直に中国の住宅問題について語っている。フィナンシャル・タイムズのウェブページでは、インタビューの動画があり、Li Daokui氏がわかりやすい英語で受け答えすることが視聴可能だ。

不動産市場の抑制に対する政府の今回の対応は、高騰する住宅価格をコントロールすることが目的。経済が過熱しすぎており、ゆるやかな利上げや通貨切り上げが必要とされることになるだろうと付け加えた。

「単なるバブルの問題ではないファンダメンタルな性質を持つため、中国の住宅問題は米国や英国よりもはるかに深刻なのである。」

この発言は、月曜日に予定されている国務院での、不動産税の改革の承認に先立って行われている。今回の動きは初めて中国政府が住宅市場の価格上昇を抑えるために年率課税を行うという方向性を表しているようだ。このニュースで中国株式は2.4%下落。

中国政府関係者からの常になく率直なコメントは、エコノミストの中に広がる欧州の危機が中国に波及し、通貨切り上げを含む緊縮策を中国は回避する方向に向うだろうという見立てとは対比的。

中国の温家宝首相が、月曜日に、経済大国が刺激策を取りやめるのは時期早尚と発言した際にも、この印象は強まった。

「欧州諸国の債務危機は欧州の景気回復を妨げる可能性がある。中国は危機感を今後も維持する」と訪日中に発言。

Li氏は、高い住宅費用は、都市化のスピードを遅くすることで将来の成長を阻害する可能性があると述べた。

価格高騰は政治的引火点になる可能性もある。

特に不動産市場から締め出されたと感じる可能性のある若い世代の人々にとってそれがあてはまる。

「住宅価格が上昇すると、多くの人々、とりわけ若い人々が心を悩ませ始めるだろう。こうなると、不動産問題は社会問題になる。」

不動産販売の急激な鈍化と、欧州危機にもかかわらず中国の経済活動はひきつづき堅調であると彼は言う。「中国はリスクを取っている。別の言い方をすれば過熱の間際にいる。ただ状況は制御不能ではないとはいいたい。」

今回の政府の動きは短期的にはネガティブな影響がある。

預金金利や通貨の緩やかな上昇を容認する方向性も、今後、人民元がさらに強くなっていくとすれば、そういった環境に中国企業が備えるのを助けることになるだろう。(以上)