21世紀ラジオ (Radio@21)

何かと気になって仕方のないこと (@R21ADIO)

ニューヨークタイムス 日米同盟は日本防衛にとってBargain

国と国との関係も、人と人の関係と同様、自分の言い分だけを通すわけにはいかない。相手方の言い分に耳を傾けることなしには、一定の妥協には至らない。沖縄の基地問題も、同様に、米国にも言い分がある。ニューヨークタイムスの論説を最近じっくりと読むようになっている。日米関係が緊張するまさにそのタイミングで、現在の米国のアジア政策の青写真を描いたジョセフ・ナイがニューヨークタイムスに寄稿したことも記憶に新しい。最近、気のせいか、ニューヨークタイムスに日米関係の記事が載ることが多い。今日も、論説のページに、無署名で、日本と米軍基地というコラムが掲載された。

一応、鳩山首相の独立路線に対して冷静かつ柔軟な敬意を表しつつ、日米関係というものが、日本にとってBargain(安上がり)だという米国の言い分をしっかりと主張している。

たしかに、そういう側面もあるだろうが、ひきつづき、米国にとっても、日本に基地を置き、その費用の7割以上を日本に負担させるというのは、かなりのBargainのはずだ。表面的にはソフトだが、押しつけがましいアメリカ的言い分にはちょっとむかっとはするが、そこは冷静に、お互い様ですねと笑って見せる外交が必要だ。

官僚体制の肥大、検察の暴走、政治と金など問題は多い。しかし、日米関係というのは、それにも増して、我々の存続に関わる重大事なのだ。

Japan and the American Bases
日本とアメリカ軍の基地
http://www.nytimes.com/2010/01/28/opinion/28thu2.html

沖縄の米兵の数を減らし、残りを移転させるための日米交渉には10年の月日がかかった。新しく首相になった鳩山由紀夫氏は、この合意にコミットすることをこれまでのところ拒否している。そして、オバマ政権は少々我慢にも限界が来ているようだ。日米の重要な同盟関係に深刻な影響を与える前に、両国は妥協点を見出す精一杯の努力を行うべきである。

2006年の合意は、沖縄県民と、彼らが受け入れている2万人以上のアメリカ兵士との間の緊張を緩和するために考えられたものだった。この合意の中には、宜野湾市にある普天間米空軍基地から2000人の海兵隊員を、沖縄県の北部海岸地帯にあるあまり人口が密集していない名護市への移転することと、8000人の他の海兵隊員のグアムへの移転が含まれていた。

昨年の8月の地滑り的大勝の以前には、鳩山氏は米軍基地の県外、あるいは日本国内からの移転を主張していた。ペンタゴンは日本政府に対してそのコミットメントを受け入れることを主張したため出足で躓いてしまった。鳩山氏は現在5月まで決定を延期すると言っている。名護市の新市長は、彼は海兵隊名護市へ移転することを望まないと公式に発言した。

我々は、オバマ政権が、今週安全保障についての日本政府との会談のために二人のトップ官僚を送りこんだ際に、柔軟性と忍耐力を示すことを希望する。彼らは鳩山氏に対して、なんらかのソリューションを提供することによって、対等なパートナーという彼のコミットメントを証明することを促すべきである。そして米国は日本に米軍を駐留させるより説得力のある理由を提示すべきである。(日本の沖縄以外の地域や、日本沿岸に2万人の米兵が駐留している。)

この同盟関係は、基地に関する合意よりもはるかに重要である。しかしこの合意が宙ぶらりんな状態に置かれれば置かれるほど、同盟関係の将来についての疑念をかきたてることになる。多くの、日本の新しいリーダーや戦後世代がこの安全保障に関するパートナーシップの価値を完全に理解しないようになっている。

50年に及ぶアメリカによる防衛は、今でも、日本にとって安上がりなものである。アジアの多くの地域において、中国の強大化とその防衛や、必要な場合には北朝鮮に対する本質的な対抗力としてみなされている。米国もまた鳩山氏の独立路線の強化という意欲に敬意を表すべきである。独立路線の中には、中国との関係改善の模索も含まれている。東京とワシントンの強固で対等なパートナーシップは、両国にとって圧倒的な利益になるのだ。(以上)