21世紀ラジオ (Radio@21)

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日経が引用したFTの小沢氏批判の記事

日経でFTが引用されていた。現状の検察対民主党という軸では、NYTの記事が検察に対する批判、FTが小沢氏に対する批判というような引用である。FTの論調が気になったので、実際に読んでみた。FTの中の官僚システムに対する問題提起、検察のメディアリークに対する批判は割愛されていた。具体的には、こんな文章だ。


「検察が小沢氏にダメージを与えるストーリーをメディアにリークすることを利用していることは恥ずべきこと(disgraceful)であり、民主党の、いまだに日本の真の権力は国民に選ばれていない官僚たちが握っているという主張を支持する結果となっている。」

短い記事だから構成上、仕方がないといえばそれまでではある。

しかし、FTの論説の文脈の全体性は失われている。小沢に対する痛烈な批判であることはそのとおりだ。しかし、短い論説をつまんで引用することで、FTの文脈の全体性が損なわれているのも事実だ。

だからこそ、外電の引用は気をつけなくてはならない。正確に論旨が追えているかどうかは定かではないが、粗訳をした。オリジナルのURLを添付しているので不明点は各自確認していただければ。


小沢の破壊
Ozawa destruction

http://www.ft.com/cms/s/0/c6973c94-0531-11df-a85e-00144feabdc0.html

Not for nothing is Ichiro Ozawa known as “the destroyer”. The man who engineered the electoral destruction of the Liberal Democratic party, something he had been plotting for nearly 20 years, could easily end up performing the same service for his own Democratic Party of Japan.

(小沢一郎が「デストロイヤー」と呼ばれるのには理由がないわけではない。20年近く彼が画策してきた選挙による自民党の破壊を成し遂げた男が、自分の民主党に対して同じ破壊活動をすることなど簡単に取りやめることができるはずだ。)


昨年8月の衆議院選挙での勝利を率いた、民主党の幹事長で、人よんで、「選挙の神様」は、今や民主党にとって負債になってしまった。民主党の支持率は数カ月前の75%から45%にまで低下した。

この原因は、主として、小沢氏を取り巻くスキャンダルの匂いと、67歳の剛腕の政治家が、秘密裏に、裏側で民主党を操っているという印象が強まっているからである。

検察は民主党が政権奪取する前の、小沢氏の資金団体に対する調査を開始し、既に、現側近と元側近の3人を逮捕している。

The prosecutors’ use of the media to leak damaging stories about Mr Ozawa is disgraceful and supports the DPJ’s claim that real power in Japan still resides with unelected bureaucrats.

(検察が小沢氏にダメージを与えるストーリーをメディアにリークすることを利用していることは恥ずべきこと(disgraceful)であり、民主党の、いまだに日本の真の権力は国民に選ばれていない官僚たちが握っているという主張を支持する結果となっている。)

しかし、同様に、小沢氏は常に古いスタイルの金権政治を連想させる政治家であり、そういった政治を民主党は追放したいと考えているのである。

The stench around Mr Ozawa is damaging a party that has presented itself as clean, policy-based government. That is why Mr Ozawa must either prove his innocence or withdraw from the scene.

(小沢氏を取り巻く悪臭(stench)は、クリーンで政策ベースの政党として自らを打ち出している民主党にとってダメージを与えている。だとすれば、小沢氏は自分の無罪を証明するか、舞台から引き下がるべきだ。)

もし小沢氏が辞任するか、もっといいのは、優柔不断な鳩山由紀夫首相によって解任されれば、民主党の寿命はかなり長くなるはずだ。確かにそれが必要だ。民主党には他にも多くの問題を抱えている。特に、鳩山氏自身を取り巻く政治資金スキャンダルだ。

民主党は出だしでつまづいた。外交でもうろたえ、ワシントンの同盟国を悩ましている。フェアに言えば、ワシントン側も東京の新しい政権に対応するのにかなり不器用だ。さらに国内的には民主党は動揺している。財政政策でも混乱し、藤井裕久財務大臣の早々の辞任につながった。民主党はさらに、少数派の連立政党に恩義を受けている。こういった少数政党に金融規制などのような政治分野を乗っとられしまっている。

自民党が以前に政権を失ったのは1993年である。あの時は小沢氏自身の策謀が就任後9ヶ月後にすぎない連立与党の時期早尚な崩壊を確実なものにしてしまった。昨年の民主党の勝利は日本にとって良いものであった。歴史は繰り返されてはならない。(以上)