21世紀ラジオ (Radio@21)

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グーグルなしでは、困ってしまうと中国のエリート層は嘆く(NYT)

地下鉄の中で、週刊朝日上杉隆さんの「検察の狂気」という巻頭記事を読んだ後、ヘラルド・トリビューンのグーグルがいなくなったら俺たち困るという中国のエリート層の反応についての面白い記事を読んでいた。SHARON LaFRANIERE署名の記事。


現実のグーグル撤退への不安
http://www.nytimes.com/2010/01/17/world/asia/17china.html?ref=asia

At the elite Tsinghua University here, some students were joking late last week that they had better download all the Internet information they wanted now, in case Google left the country.

中国のエリート大学である、精華大学の学生の中には、グーグルが撤退する前に、欲しい情報をすべて自分のPCにダウンロードしておかなければならないという冗談が飛び交っている。

実際、グーグルによって手に入る情報なしでは、学業にさしつかえるのだ。中国のエリート学生にとってグーグル撤退は笑い事じゃすまないのだ。

グーグルが提供する、翻訳機能、論文検索機能がなければ、彼らの学業遂行は困難になってしまう。

インターネットの拡大と経済成長と、政治的コントルールの確保というかなり難しいバランスを北京政府は取ってきた。ただ、中国の未来のエリートである北京の学生たちには、このバランスがきわめて悪いように感じられてきているというのだ。

今回のグーグルの問題が、いかに個人の情報の自由が侵害されているかということを表面化することになる。

国内検索エンジン百度(Baidu)にはかなり引き離された第2位のグーグルだが、その8000万人と言われるユーザーは、比較的、高い教育を受けた、富裕層に属すると想定されている。調査によるとグーグルユーザーの3分の2が大学卒だ。その意味では、かなり、口うるさい(Noisy)な集団になる可能性がある。

匿名ということを条件にあるインターネット専門家はこんな発言をした。

生活や、職などの実利の観点から、彼らは共産党と妥協しているだけだ。ところがグーグルが撤退すれば、グーグルが使えないような国ってはいったいなんなのかと思い始めるはずなのだと。

こういった人々は街頭で抗議デモなどはしない。しかし、共産党が行っていることの正統性はさらに崩れて行くことになる。そしてこのグループは、共産党がこれ以上失いたくないと思っている層なのだ。

新彊地区などのように半年以上も、一切インターネットアクセスを与えていない地域もある。これに対して多くの政治的反対運動は起こっていない。

政治的安定のためには、情報統制に関して妥協することはない。

しかしグーグルが本当に撤退し、インターネット規制が多くの人々の身に降りかかるならば、政府は行き過ぎだという気持ちが急激に拡大するだろう。しかし、それに対して、政府はどう対応するかについて、中国の人々にも確証はない。(以上)