21世紀ラジオ (Radio@21)

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Nexus Oneはオープンな夢を見るか

地下鉄の中で、ヘラルド・トリビューンで、David Pogueの
Google's phone is great, but nothing has been revolutionized(グーグル携帯は凄いが、それ自体に革命性はない)というコラムを読んだ。

昨日あたりから、ツイッター界隈でも、随分NexusOneのtweetが多くなっている。グーグルらしい、世の中を揺るがそうという意志が見える。

David Pogueも、

Google sure does love shaking up the system.(グーグルは本当に既存システムを揺るがすのが大好きなんだ。)

という文章で、このコラムを始める。そして、WSJのモスバーグさん的な、機能比較をするのだが、そこには、何ら革命性は見当たらないというのがコラムの趣旨だ。

どこまでいっても、最初のトライアルだから、グーグル自体、完璧を期したはずもない。ダウンロードアプリケーションに割り当てられているメモリーの圧倒的な制約などが指摘されている。

じゃあ、David Pogueは、今回の動きの意味をどうとらえているのか。

グーグルが、揺さぶろうとしているのは、むしろ、圧倒的な既得権益を抱える携帯電話会社のビジネスなのだ。

米国には、2つの競合するネットワークフォーマットが存在する。ベライゾンとスプリントが依拠するCDMAと、AT&TTモバイルが依拠し、米国以外でも使用されることの多いGSMである。

現状のNexus Oneは、GSMである。

AT&TiPhoneとがっちり組んでいるということからすれば、Nexus Oneを買うということは、T−Mobileに加入することに他ならない。

そのうち、ベライゾン対応版も発売するとグーグルは発表しているが、そうだとしても、グーグルストアで電話を買えることには、現在のところ、まったく付加価値がない。

Even so, you should root for the Google Store's success, because the obnoxious policies and fees of the American cellphone companies have gotten out of control. Anything with even a fighting chance of putting power and choice back in your hands is cause for celebration.

(だとしても、グーグルストアの成功を応援すべきなのだ。それは、アメリカの携帯電話会社の
不愉快なポリシーや手数料のコントロールがきかなくなるからだ。力を少しでも消費者の手に取り戻す可能性は、言祝ぐに値することのはずだ。)

というのが、彼の結論だった。

たしかに、日本の携帯電話会社の状況を見ても、消費者ニーズというものを、かなり表層に追い込んで、本質的な意味でのサービスということには必ずしもなっていない気がする。

常に、一定の競争の脅威がなければ、消費者の観点から見ると、すぐに、サービスのクオリティは劣化してしまうというのは、世の東西を問わず、真理なのだろう。

iPhoneとアンドロイドフォンのどっちがいいと、言われると、なんとなくだが、iPhoneのProprietaryな感じがそんなに好きじゃないので、携帯電話をWild Wild West的なフロンティアにしていきそうなアンドロイドフォンの方にちょっと期待してしまう。

ただし、移動体データ通信の急成長の中で、携帯電話に集約される個人情報や、金融的価値の大きさを考えるに、セキュリティリスクはどんどん高まってくことになるだろう。

個別のユーザーのITリテラシーにもよるのだろうが、最終的には、Proprietary的なプラットフォームに基づく携帯と、オープンな携帯が棲み分けをすることになっていくのだろう。その比率がどうなるかは、おそらく、セキュリティ問題の大きさによるはずだ。