小田和正 クリスマスの約束
クリスマスの夜は、昔の学校の仲間の飲み会だった。赤坂で、若干年格好は違うが、 中年から初老に向かいつつある男が集まった。会社に入ってから数年立った後、、2年間、東京からは少々離れた田舎で寮生活を共有したということもあって、頻繁とは言えないものの、時折集まっている。誰かが、海外から帰ってきた、海外へ行くというようなイベントをきっかけにして集まることが多かった。ただ皆、年を経ることに、そんな中に、誰かの奥さんが亡くなったとか、誰かが手術を受けて退院したというような重いことも起こるようになっていた。
今日は、難病で、苦労している年長の友人を囲んで、2年ぶりに集まった。
会場の日本酒を飲ませる店に入ると、予想以上に元気な友人の笑い顔があった。
ほっとした。昔話をしながら、皆で、少々深酒をした。
二次会で、赤坂のクラブで、歌を歌った。ぼくたちが、青春を過ごした70年代から80年代の歌。
そんな気持ちの良さをぶら下げて、家に帰った。
キッチンで、水を一杯飲んで、テレビのスイッチをつけると、小田和正の「クリスマスの約束」。7,8年前から、小田和正を中心に、多くの歌手たちによって行われてきているというぼんやりとした記憶があった。
片手に水の入ったグラスをもって、何の気なしに見ていたが、22人の歌手たちが、それぞれに自分の持ち歌のサビの部分を繋いで歌い続けるその流れに一気に引き込まれてしまった。
小田和正、AI、Aqua Timez、いきものがかり、キマグレン、Crystal Kay、財津和夫、佐藤竹善、清水翔太、JUJU、スキマスイッチ、鈴木雅之、STARDUST REVUE、中村中、夏川りみ、一青窈、平原綾香、広瀬香美、藤井フミヤ、松たか子、山本潤子。
新旧の多様な歌い手たちが、互いにバックコーラスをしながら、自分の歌を繋いでいく。
ひとりでに涙が止まらなくなった。さまざまな歌が、実は、一つのメッセージを繰り返し、繰り返し、繋いでいるということが一瞬に心の深いところに、すっと落ちたからだ。
あらゆる歌が、一つのメッセージ、私は誰かと繋がりたいという叫びなのだということ。
トリを歌った、いきものがかりの吉岡聖恵や、夏川りみ、Aiたちの愛らしさが歌っている中でも輝いていた。
中村中の歌詞が心の深いところに刺さってきた。
手を繋ぐぐらいでいい
並んで歩くくらいでいい
それすら危ういから
大切な人は友達くらいでいい
歌というものが、一つの大きな存在の一部であるということを、歌っている人たちもそれぞれに感じている、その感動が聴いているものも巻き込んでいく稀有な時間がそこには流れていた。
メリー・クリスマス