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ツイッター The Tweet Smell of Success

ツイッターでfollowしているサイエンスライターのSteven Johnsonが、ニューヨークタイムスに乗った記事についてのTweetを送ってきた。

http://www.nytimes.com/2009/06/14/weekinreview/14cohen.html?pagewanted=print

The Tweet Smell of Success ツイートな成功の香り。1957年のThe sweet smell of success(甘き成功の香り)というミステリー映画をもじっているようだ。

ウィキペディアによると、バート・ランカスタートニー・カーティスが共演したミステリーで、前評判はあまり良くなかったが、結果、ヒット作となり、後に、ミュージカル化もされたという。

http://en.wikipedia.org/wiki/Sweet_Smell_of_Success

バート・ランカスター演じる人気コラムニストが妹と、自分が気に入らぬ恋人の仲を裂くために、自分のコラムでの影響力を悪用するという話のようだ。

最近、街で話題のツイッターが、3000万以上のユーザーの中から、数百のおすすめユーザーをリストアップしたことで、又、世間を賑わせているという記事だ。

初心者が、登録はしたけれど、何をしていいかわからず、何もしないという人が多いので、ビギナー用にこのオススメリストを作成したというのがツイッター側の言い分だ。

ところが、このリスト、ビギナー用などという範囲にとどまらない影響を与えた。

実質的に、匿名のツイッター社内チームは、特定の作家、インターネットおたく、政治評論家、ベンチャー経営者たちを、オンライン上のスターダムに祭り上げることになったのだ。

ユーザー推薦リスト(suggested user list)に名前が載ったとたん、そのTwittererには、50万人以上のfollowerが誕生することになったのである。

コミックにちょっと関心のあった作家は、一夜にして、コミックブックのスペシャリストになってしまった。自分のラジオ番組の聴衆より、ツイッターでのfollowerの数が多い、政治評論家も現れた。

テレビの人気ドラマの「ルーツ」のスターでここ10年ばかりぱっとしなかった俳優が、63万5000人の個人的観客を有しているという。

かつて広告代理店が、ウォルター・ウィンチェル(甘き成功の香りのモデルらしい)のような人気コラムニストを、うまく丸めこんで、自分のクライアントのために一言言わせたような策略を現代の広告マンたちも早速めぐらせはじめている。

起業家の中には、オススメリストに、2年間掲載されるならば、25万ドル払うと宣言するものも現れる始末だ。ただこの経営者も、自分が有名になりたいというよりは、自社の製品のプロモーションに使いたいのだ。ツイッター社がこんなディールを認めるならば、
300万人程度のfollowerも夢じゃない。すると、follower 1人あたり10セントとしても、25万ドルなら大バーゲンという発想だ。

ツイッター社は、これに対して、今のところそのようなサービスは考えていないと答えた。ただ今のところというのがみそで、同社にとってはあらゆる選択肢を検討中ということなのだろう。ただ公式にはツイッターは、プロモーションというよりは個人個人の自己発現のツールでありたいと述べてはいる。

iTune, Neflix, アマゾンのような強力なウェブサイトが消費者に圧倒的な影響力を持つようになっている。こういったサービスと、ツイッターの違いは、製品ではなく、それを選択し、推薦する人により多くのパワーを与えるという新機軸を打ち出していることだ。

ここで、我が親愛なるスティーブン・ジョンソンがちょっと笑える形でハイライトされている。

ツイッターのリストには、ランス・アームストロングシャキール・オニール、ブリトニー・スピヤーズなどのような多くの有名人の名前が含まれている。しかし、ある意味当然なのだが、このオススメリストによってもっとも劇的な変化を被ったのは、科学技術ライターのスティーブン・ジョンソンのようなそんなに有名ではなかったユーザーなのだ。

ツイッターはリストに載せたという通知をしない。ジョンソンは、1月に、北東部に著書の販売ツアーに出かけていたとき、突然、数時間で、200通のEメールで続々と新しいfollowerができたの知った。このときはじめて彼は異変を知ったのだという。「私は、みんなに、いったい、君たち皆はどこから来たんだというツイートを発信したんだ。」

即座に、ジョンソンのfollowerの数は5000から630,000に急増した。(しかも、この数字は1時間ごとに増え続けたのである。)「これは巨大な力だ。私はオフラのような有名人ではない。しかしある種のことに関してはかなり有効に語ることができる。そしてそれに関係することについてのリンクを示すことができるし、それを続けることもできる。」

ジョンソン氏がここで経験したのは、新しいメディア媒体の重要性の高まりと、タイムマガジンのような従来型メディア媒体の影響力の低下だったという。

タイムマガジンがツイッターのもつ力に関する彼のエッセイを掲載した時のことだった。

このエッセイはカバーストーリーになり、彼のツイートのサンプルがカバーページに載っていた。

彼曰く、おかしかったのは、みんなが、タイムマガジンのカバーでIDのせいで、気が狂うほど、followerが増えただろうと聞いてくることだったという。実際の話、自分がツイッターのユーザー推薦リストに載った時の方がはるかにクレージーだったらしい。」

雑誌の表紙になるなどというのは、一昔前なら大変なPR効果だった。でも確かに、インターネット漬けになると、一番最初に買わなくなったのが、雑誌だったことを思い出した。

既存のメディア業界は、徹底的に破壊されていくような気がする。その代わりに、我々が何を必要とし、それが、本当に意味のあるものなのかは誰にもわからない。しかし、もう、元には戻れない。